おうち時間の増加と相反してエクササイズの時間は減っていませんか?
「10日休むと筋力は劇的に低下する」悲しい現実。
苦手だった運動を「3か月がんばってトレーニングに励んでいた」ひとも、そこで中断すれば、もとの筋力に逆戻り。
「首コリ・肩コリ・腰痛」
デスクワークや家事をしていると、何となく気になる症状はありませんか?
知らず知らずのうちに、長時間同じ姿勢や無理な体勢で過ごし、症状は改善されず、悪化するばかり。
でも実は、毎日の生活の中で、たった15分間取り入れるだけでも改善ができる可能性がある症状が、首や肩コリ、腰痛。
もしかすると、日頃気になっていた頭痛まで解消できるかもしれません。
外出する機会が減った今、おうち時間を有効に活用しながら、筋力を維持しボディラインを美しく整え、悩ましい首と肩のコリ、更には頭痛まで解消してくれる、ヨガとマットピラティスについて見ていきたいと思います。
目次
1.2 肩コリの原因とは?
1.3 肩コリと頭痛の関係
1.3.1 慢性型頭痛の分類
1.3.2 肩コリと頭痛の関係
1.3.3 首・肩コリを解消するヨガ
2.筋力維持とピラティス
2.1 ピラティスの歴史
2.2 おうちピラティス実践頻度
3. マシーンピラティスとは?
4.トレーニングと栄養
5.まとめ
1. 肩コリ・腰痛は国民病?
2016年に実施された国民生活基礎調査の回答では、自覚のある症状の第1位は腰痛、第2位は肩コリです。
女性だけに限ってみると、肩コリが第1位。
「倦怠感」「頭痛」といったよく耳にする不定愁訴のなんと2倍以上もの割合を占めます。
美容室やセラピールームで「凝っていますね」と言われて初めて気づく「無自覚」タイプの潜在的な人数も勘案すると、より多くのひとが抱えているはずの症状。
肩コリと腰痛が国民病と言われる所以です。
1.2 肩コリの原因とは?
肩コリはどのようにして起こるのでしょうか?
首から肩付近に及ぶ「デコルテライン」を中心に、女性特有の骨格とライフスタイルから、その原因を探ってみましょう。
2リットルのペットボトル約2本分、約3kg強も重さのある頭部。肩からぶら下がるように伸びる2本の腕。その間にあって、この重みを一挙に支える、頸椎・首、肩周囲。
この首・鎖骨・肩甲骨を含む肩周囲にかけた範囲を美容用語では、デコルテラインと呼びます。
ウェスト周囲と共に、“女性らしさ”を醸し出す2大フェミニンボディラインの1つ。
長時間同じ姿勢を維持したり、毎回同側の肩にバックをかける等、日常的な動作によって、片側だけに重さがのしかかり、更に負荷を与えます。
蓄積されたこの負荷は、デコルテラインを取り囲む筋肉群である、首筋の頭板状筋と肩甲挙筋、背中上部の僧帽筋とその下層にある大・小菱形筋などに対し筋収縮をもたらし、痛みとして症状を増強、交感神経を刺激します。交感神経優位の状態が緊張を高めるという負のスパイラルに突入。
この状態が持続され、血流が滞り、やがて、肩コリとして発展していくのです。
1.3 肩コリと頭痛の関係
1.3.1 慢性型頭痛の分類
市販薬を用いてやり過ごすことも多い日常的な症状である頭痛。
慢性的な頭痛は、その発生のしかた・症状・頻度などから、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発型頭痛」と、大きく3つに分類日本人に最も多いと言われているは「緊張型頭痛」。
緊張型頭痛は、主訴および主症状をもとに、更に、肩コリ起因型、精神的ストレス起因型、片頭痛混線型の3つのタイプに分類されます。
ココロに起因するストレス、カラダに起因するストレスのいずれでも発症し、別名「ストレス頭痛」とも呼ばれる緊張型頭痛。
日本人に最も多いタイプの頭痛は、カラダの筋緊張がメインの首・肩こりに起因する緊張型頭痛であると言われています。
「頭痛で仕事に集中できずパフォーマンスが上がらない」など、出社はしているけど仕事が思うようにはかどらない、家事が手つかずの状態となるなど、プレゼンティーズムを引き起こします。
1.3.2 肩コリと頭痛の関係
2リットルのペットボトル2本分の重さがある頭部を支える首の筋肉に、一定の時間、一定の角度から負荷がかかり、筋肉が持続的に収縮することにより、血流に滞りが発生し、疲労物質の乳酸や痛みの原因物質プロスタグランジンも滞ることによってコリが発生。
首を支える骨である頸椎は、神経伝達の経路でもあり、コリを違和感としてキャッチ。頸部の神経から脳へ不快な痛み信号として伝達。
これが、肩コリに端を発した頭痛の成り立ちです。
一方で、「すごく頭が重い感じがする」状態が続く場合は、肩コリ、ストレスが原因と軽視せず、かかりつけ医に相談、または、神経内科、頭痛専門外来、耳鼻咽喉科、整形外科など専門医を受診して、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、副鼻腔炎、頚椎症など他の病気が潜んでいないか診察してもらうことも大切です。
1.3.3 首・肩コリを解消するヨガ
首・肩コリ、そして、肩コリタイプの緊張型頭痛には、患部をホットパックで温める、38度から40度程度のぬるま湯でカラダを温めながらマッサージすることも効果的です。
患部の症状が和らいだら、継続的に首・肩回りの筋肉をストレッチすることが大切であり、再発防止になります。
その実践方法がヨガです。実践時間は、わずか15分!
ヨガは、予防だけではなく、軽度の首・肩こりに起因する緊張型頭痛が起きているときに実践することで痛みの緩和にも繋がります。
なお、緊張型頭痛の特徴は、ギューッと頭の両側が締め付けられる感じがあり、一定時間持続するタイプの痛みです。主に頭の片側がズキンズキンと拍動を感じる特徴を持つ片頭痛の場合、首をひねったり、頭を回すような動きを行うと痛みが増強しやすくなりますので、気をつけて行いましょう。
2.筋力維持とピラティス
コア(体幹)トレーニングは、体の中心となる、脊柱(背骨)や骨盤の動きに関わる筋肉を強化するトレーニング。
具体的な筋肉の名前は、背骨を支える脊柱起立筋、お腹周りの腹直筋と腹斜筋、その深部にある腹横筋、下腹部の深部にある大腰筋。
これらの筋群を体幹筋と呼びます。
体幹筋は主に2つの機能を担っています。
1. 体幹部を固定するスタビリティ機能(安定化)
2. 体幹部をしなやかに動かすモビリティ機能(可動性)
この主要な機能により、内臓を抑制し、ウェストを引き締める嬉しい波及効果も発揮。
さらには、出産や加齢、オーバーウェイト、運動不足によって起こる骨盤底筋の衰えも予防できます。
そして、幸せホルモンと呼ばれる神経伝達物質セロトニンを作動させ、ココロに安らぎと爽快感をもたらすなど女性にとって嬉しいこと尽くし。
嬉しい効果が満載のコアトレーニング。
代表的トレーニングの1つが、みなさんにお馴染みのピラティス。体幹筋強化を目的としたシークエンスを多く含むヨガもピラティス同様の効果が期待できます。
2.1 ピラティスの歴史
ピラティスは、ドイツ人ジョセフ・ピラティス(1883-1967)によって創設されました。
第一次世界大戦の最中、イギリスとアイルランドの間にあるマン島で看護助手として多くの負傷兵のリハビリを担当していたピラティス。
マン島で過ごした4年間でピラティスメソッドの原型は生まれました。
その後、妻クララと共にニューヨークに渡り、一般市民からダンサーまで多くの支持者を獲得。
マシーンピラティスで用いられるアパレイタス(専用器具)の開発に注力すると共に、看護助手からスタートしたピラティスは、そのメソッドを医療施設や医学教育に導入することにも情熱を注ぎ込みました。
ピラティスの没後10年以上の時を経て、ピラティスメソッドは、サンフランシスコの聖フランシスコ病院で臨床現場では初となるダンス療法の一環として、処方の1つに加えられました。
2.2 おうちピラティス実践頻度
毎日20分程度を習慣化するのがベスト。まずは、20分週2~3日から始めてみましょう。
ご自宅での実践では、思わぬ転倒から体をガードするヨガマットなどを使用の上、周囲の家具等との間隔を十分にとって行うことが大切です。
3. マシーンピラティスとは?
マットピラティスとは、マット上で行う的ピラティスに対して、創設者であるジョセフ・ピラティスによって、各々の体や動きの癖を修正させながら、正しいピラティスメソッドを習得させることを目的として考案されたアパレイタス(専用器具)を用いて行うトレーニングです。
ジムやスタジオ、ヘルスセンターでは主にマットピラティスが提供されていますが、昨今、マシーンピラティス専用スタジオも少なからず目にすることも増えてきました。
4.トレーニングと栄養
カラダをつくる材料となるたんぱく質。
特に、9種の必須アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン・メチオニン・リジン・フェニルアラニン・トリプトファン・スレオニン・ヒスチジン)がバランスよく含まれている食材が良質な筋肉を作ります。
必須アミノ酸がバランスよく含まれている主な食材は、牛肉・豚肉・鶏肉・魚類・鶏卵・牛乳・大豆。
食事でたんぱく質をしっかり摂るだけでも合成する力は発揮されますが、以下2つの時間帯でたんぱく質を摂ると、更に合成能が高まります。
1)朝食
2)トレーニング終了後1時間以内
朝食時にたんぱく質を摂ることは、生体リズムを整える観点からもおすすめです。
5. まとめ
毎日僅か15分程度のヨガやピラティスを行うだけで、首・肩コリなどを愁訴とし、辛くて動きや思考が遮られていた時間を取り戻すことができます。
テレワーク・オフィスワーク・家事の合間に、1日のスタートに、1日のリラクゼーションタイムに、少しだけ、自分のカラダとココロに向き合う時間を作りませんか?
続けることで、例え、辛く悲しいことが起きても、再び立ち上がるまでの時間も短縮できます。
朝日を浴びながら、小鳥のさえずりを聞きながら、芳香漂う淡い光の中で、カラダもココロも緩めて、長引くおうち時間をウェルネス時間として豊かに使い、免疫力もウェルビーイング力を高めていきましょう。