太陽光が眩しい程に燦々と降り注ぐ盛夏。
雨曇りの日々が続く梅雨空から一転。梅雨明け宣言後は、日差しは強さを増し、私たちのお肌や毛髪、目を直撃します。
この時期、最も気になるのは、太陽光線に含まれる紫外線(UV)によるダメージ。
小麦色に日焼けしたお肌は、満喫したヴァカンス帰りを彷彿とさせ、アクティヴで健康的なイメージを与える一方、紫外線は、お肌のエイジングの原因とも言われ悪評も。
どのように紫外線(UV)ケアをすれば良いのでしょうか?
SPFの使用目安も含め、具体的に見ていきましょう。
目次
1. 紫外線によるメリット・デメリット
1.1 メリット
1.2 デメリット
2. 紫外線(UV)の正体と種類
2.1 紫外線とは?
2.2 紫外線の種類
2.3 紫外線量と季節・地理的条件の関係
3. 紫外線が皮膚に与える影響
3.1 皮膚の構造と紫外線
3.2 UVA
3.3 UVB
3.4 サンタンとサンバーンの違い
3.4.1 サンタン
3.4.2 サンバーン
3.4.3 スキンタイプと皮膚がん
4. 紫外線から素肌を護るUVケア
4.1 UVケアの方法
4.2 SPFとは?
4.3 サンスクリーン・SPF使用目安
5. まとめ
1. 紫外線によるメリット・デメリット
「紫外線」と聞くと、灼熱の太陽と日焼け後のヒリヒリした皮膚感覚を彷彿とさせ、どちらかと言えば、マイナスのイメージがありますが、実際には、私たちのお肌やカラダにとって悪いことばかりを齎す訳でもありません。
紫外線の影響によるメリットとデメリット双方について見ていきましょう。
1.1 メリット
野菜や果物など植物界に於いて、紫外線による侵害から身を護るために生合成され蓄えられる抗酸化物質。代表的な抗酸化物質として、植物の果皮や種子などに含まれるポリフェノールが挙げられます。
私たちは、それらを食することで、体内で発生した酸化物質を除去し、がんや動脈硬化性疾患を始めとした様々な疾病予防の恩恵を受けています。
紫外線照射の副産物を摂取することで得られる二次的効果以外にも、私たち自身が紫外線を適度に浴びることでダイレクトに齎されるメリットがあります。
それは、皮膚を介したビタミンDの生合成です。
ビタミンDは、骨形成を促す役割も担っており、骨折や骨粗鬆症を予防する栄養素として活躍。20分弱の日光浴で促進されます。
1.2 デメリット
紫外線吸収の役割を担うオゾン層の破壊といった環境要因も加わり、紫外線を浴びることによる健康リスクが多く指摘されています。
私たちのカラダへのリスクとして指摘されているのは主に以下の5つ。
1) シミ
2) シワ
3) 日焼け
4) 光アレルギー反応
5) 皮膚がん
これらのダメージは、各人のスキンタイプ、紫外線照射量と時間、年齢、遺伝的要因、UVケアの有無などによって発症頻度や重症度の違いとして現れます。
2. 紫外線(UV)の正体と種類
目には見えない紫外線。その正体を具体的に見ていきましょう。
2.1 紫外線とは?
紫外線は太陽光に含まれる電磁波の1つ。太陽光は5つの電磁波を有しており、その中で実際に地表まで届く電磁波は、赤外線・可視光線・紫外線の3種類。
その割合は、赤外線42%、可視光線52%、紫外線約6%と紫外線は僅かに含まれる程度である一方で、私たちのカラダに及ぼす影響力は最も大きいと言われています。
2.2 紫外線の種類
紫外線は、その作用が及ぶ範囲に基づき、UVA・UVB・UVCの3種類に分類されています。
地表まで到達し、私たちの皮膚まで侵入することができるのは、UVAとUVBの2種類。UVCはオゾン層で全て吸収されます。
2.3 紫外線量と季節・地理的条件の関係
紫外線量は、太陽光が燦々と降り注ぐ5月以降、7月から8月にかけてピークを迎えます。
日内変動も有しており、10時から14時にピークの山があり、当日の気象条件にもよりますが、一般的に正午が紫外線量のピーク。
地理的要因としては、南北では南へ向かうほど、高低では高地へ進むほど、紫外線量は高まります。
3. 紫外線が皮膚に与える影響
UVA、UVBが皮膚に及ぼす影響とスキンタイプの違いによる侵害度レベルについて見ていきましょう。
3.1 皮膚の構造と紫外線
私たちのカラダは外側から表皮・真皮・皮下組織の3層構造で覆われています。表皮と真皮の2層は「皮膚」と呼ばれ、外敵や環境ストレスなどからカラダを護る役割を担う最大の臓器。
性差や部位によっても異なりますが、表皮は約0.1~0.3mm、真皮は2~3mmの厚さ。
UVA、UVB共にその作用は真皮まで到達し影響を及ぼします。
3.2 UVA
オゾン層では吸収されないUVA。その力が及ぶ範囲は315~399nmと紫外線の中で最も長い波長を持っています。そのため、皮膚の深部にある真皮まで到達可能であり、お肌の張りを低下させる程のパワーを有します。
3.3 UVB
オゾン層でそのほとんどが吸収されるものの、残りは真皮の上層部まで到達可能。侵入範囲は280~314nm。
UVA、UVB共に、曇り空でも、ガラス越しにも透過できる特性を持ち、車内や屋内でも私たちの皮膚へ侵入可能な能力を有しています。
3.4 サンタンとサンバーンの違い
私たちにとっては同じ「日焼け」でも、個々人のスキンタイプや紫外線照射の度合いによって齎された皮膚色の変化やダメージの程度は異なります。それらを表す言葉が、サンタン(黒化)とサンバーン(紅斑)。
3.4.1 サンタン
太陽光の照射を受け、主に紫外線により惹起され、皮膚が黒くなる(黒化)をサンタン(suntan)と呼びます。
3.4.2 サンバーン
太陽光の照射を受け、主にUVBにより惹起され、皮膚が赤くなる(紅斑)をサンバーン(sunburn)と呼びます。
3.4.3 スキンタイプと皮膚がん
スキンタイプとは、太陽光の照射を一定時間受けた後の皮膚状態がサンタン・サンバーンの何れに属する反応を呈しているかによって分類された区分であり、紫外線に対する皮膚の感受性の高低を示す指標です。
日本独自の基準では3タイプ、より詳細な国際基準では6タイプに分類されています。
日本型分類では、容易に紅斑反応を呈し黒化の発生は稀であるサンバーン型、容易に黒化反応を呈し紅斑反応の発生は稀であるサンタン型、それらの中間型の3つにカテゴライズ。
国際分類上の極サンバーン型である、「容易に紅斑反応を呈し黒化は皆無」であるケースは色白の皮膚色を有する方々に多く発生し、皮膚がん発症との関連性が示唆されています。
4. 紫外線から素肌を護るUVケア
日光浴のデメリットも指摘される中、生活リズムの調整を始め、私たちは太陽光から多くの恵みを受けているのも事実。恩恵を受けながら、リスクを回避するためのUVケア方法に関して見ていきましょう。
4.1 UVケアの方法
素肌が直射日光に晒される機会を減らすことが最も重要です。そのための2大ポイントは以下の通り。
1) 皮膚の露出部位を低減
2) サンスクリーン(日焼け止め)の活用
1)の対策として、長袖シャツやワンピース・帽子などの着用や日傘・UVカット仕様のサングラスを用いること。
2)の対策として、露出回避が困難な部位にはアクティビティに合わせてSPF成分配合のサンスクリーンを用いることが効果的です。
4.2 SPFとは?
主に、UVBから素肌を護る効果を上限50の数値を用いて示した指数で、sun protection factorの頭文字を用いた略称。市場では、下限15の製品が主。50以上の効果を有する製品には50+と表記。
UVAに対する防御効果も有する製品には、PAの併記があり、有効性のグレードは、+/++/+++の3段階に分類されています。
4.3 サンスクリーン・SPF使用目安
季節と活動時間により、SPFを使い分けるとプロテクト効果が増加します。
[SPF15]
紫外線量ピークの夏季以外、および、買い物・散歩など概ね1時間以内の外出時
[SPF15~30]
紫外線量ピークの夏季以外、および、屋外アクティビティ1時間以上2~3時間程度
[SPF30~50]
紫外線量ピークの夏季。特に、10時から14時の外出時には必須。
基本的には、2~3時間おきにサンスクリーンの再塗布。タオルなどで汗を拭き取った後は、その都度塗り直しすることでサンプロテクト効果は持続します。
5. まとめ
シミ・シワ・くすみの原因となる光老化は極力避けたいもの。一方で、外出や屋外アクティビティで得られる爽快感でココロもカラダも豊かに満たされます。UVケアを取り入れ、リスクを回避しながら存分に楽しみたいですね。
【参考文献】
「化粧品事典」丸善株式会社
日本化粧品技術者会 編
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