たべる・栄養 女性の健康 -women's health-

科学的に証明された健康リスクをもたらす超加工食品とは?

  1. HOME >
  2. たべる・栄養 >

科学的に証明された健康リスクをもたらす超加工食品とは?

「食べて健康になる」ことは今や不可能な時代に突入したのでしょうか?

アレルギー疾患、生活習慣病、がん、化学物質過敏症。物質が充足している現代に於いて、様々な病気や症状が私たちを悩ませ、心も満たされていない状態が社会的に蔓延しています。

その原因の1つとして、食習慣の側面から「超加工食品」による影響が取り沙汰されています。

さて、「超」加工食品とは一体何者なのでしょうか?

その全体像を紐解き、健康を害されないための食生活スタイルの始め方について見ていきましょう。
 

目次


1. 加工食品とは?
1.1 NOVA食品分類
1.1.1 未加工食品( A )
1.1.2 調理用加工食材 ( B )
1.1.3 加工食品 ( C )
1.1.4 超加工食品 ( D )
2. 超加工食品と疾病の関係
2.1 罹患リスクが高まる病気
2.2 研究結果の信憑性
3. 超加工食品が体に悪い理由
4. 超加工食品デトックス
5. まとめ

 
 
1. 加工食品とは?
「加工食品」と耳にした時、具体的にどのような食品を思い浮かべますか?

南米難関大学の雄、ブラジル・サンパウロ大学の公衆衛生学院では、加工食品を次のように定義しています。

「加工食品とは、食材が自然界から採取され、人びとが食品として摂食する前段階までに、物理的・生物学的・化学的な過程を経て作られた食品である」

1.1 NOVA食品分類
NOVA食品分類は、2009年に、上述のサンパウロ大学公衆衛生学院に属する健康と栄養の疫学研究所で開発された食品の機能的分類。

当該分類は、加工食品に対する人々の理解を促進することを目的として、加工の割合と加工の目的を取りまとめ、加工食品を未加工食品(自然食品)・調理用加工食材・加工食品・超加工食品の4グループに分類し、グループ毎に代表的な食品名を明示しています。

では早速、各グループの特性や具体的な食品名について、見ていきましょう。

なお、分類された食品群に対し、便宜上、A・B・C・Dとグループ名を付与し明記します。

1.1.1 未加工食品( A )

( A1 ) 未加工食品または自然食品
植物あるいは動物由来で加工が施されていない食品群。

( A2 ) 低加工食品
自然由来の食材を用いて、発酵・乾燥・圧搾・揉捻・冷凍・冷蔵など最小限の加工技術を応用し製造された食品群。塩・油・砂糖など原材料以外の添加は一切なされていない特徴も有しています。

( A1 ) および ( A2 )に該当する食品例
未加工(包装)またはカット野菜、ストレート野菜または果汁ジュース、未精製または精製した穀物、鶏卵、肉類、魚貝類、豆類、種子類、コーンスターチ、ドライフルーツ、フレッシュまたはドライハーブ・香辛料、生または乾燥キノコ類、茶類、ハーブティ、コーヒー、水、生乳など。
 
1.1.2 調理用加工食材 ( B )
自然由来の食材、または、圧搾・揉捻・攪拌などの加工技術を応用し製造される食品群。家庭やレストランで使用する調味料に対して用いられる表現。有塩バターなど、( B )群に該当する食材を2品併用した物も含まれます。

( B )に該当する食品例
大豆・サンフラワー・シード・コーン・パームなどの油、バター・ラード・ココナッツオイルなどの油脂、サトウキビやビーツから採取した砂糖、未加工スターチ、ハチミツ、メープルシロップなど。
 
1.1.3 加工食品 ( C )
保存性の向上、あるいは、食味をより豊かにすることを目的として、自然由来または低加工食品に塩・砂糖・油などを添加した食品。通常は、未加工食品のサイドメニューとして用いられます。加工食品の多くは、2から3つの原料を基に作られています。

( C )に該当する食品例
塩または酢漬けされた野菜、加工トマト(ピューレ・ホールトマト缶など)、フルーツのシロップ漬け、ベーコン、ビーフジャーキー、砂糖または塩を添加した種実など、オイルサーディン、ツナの缶詰、塩蔵・燻蒸・乾燥を施した魚肉、ココナッツ油脂、ナチュラルチーズ、化学合成添加物を含まないパン、ワイン・日本酒・ビールなどのアルコール発酵飲料。
 
1.1.4 超加工食品 ( D )
香り、保存性、食味、食感などを向上させることを目的とし、また、製造の効率性やコスト抑制も勘案しラボラトリーで工業的にデザインされた化学あるいは天然合成添加物を含む食品。

( D )に該当する食品例
スナック菓子、ビスケット・クッキー・ケーキ、アイスクリーム・氷菓、コーラやソーダ等の炭酸清涼飲料水、インスタント食品、プレーン以外のヨーグルト、乳酸菌飲料、市販のカフェオレ・いちごみるく、加糖飲料全般、マーガリン・スプレッド、すり身などの半加工品、惣菜類、調理加工済ピザ・パスタ・ホットドッグ・ハンバーガー・ソーセージ、魚や鶏肉のナゲット、菓子・惣菜パン、水素添加された油脂・イーストフード・糖を用いて作られたベーカリー、朝食用シリアル・シリアルバー、ジン・ウォッカ・ラム酒などの蒸留酒。
 
1.2 NOVA食品分類による推奨
当該食品分類の総評として以下4つの推奨事項と、総括として「ゴールデン・ルール」を提唱しています。

4つの推奨事項

未加工食品・最小限加工食品( A )を食事の基本とし、調理または料理の下準備に調理用加工食材 ( B )を少量用い、加工食品 ( C )は使用頻度を制限、あるいは、( A )に添える程度の量配分とし、超加工食品 ( D )は摂取を控えること。

4つの推奨事項を記号で表した場合、以下の通りとなります。

( A ) = ◎
( B ) = 〇
( C ) = △
( D ) = ×

ゴールデン・ルール

「いかなる時も、新鮮な未加工(自然由来)食品、または、最小限の加工に留めた食品は超加工食品に勝り、これらを摂取することを推奨する」
 

2. 超加工食品と疾病の関係

2.1 罹患リスクが高まる病気
超加工食品の摂取過多は、全ての健康リスク、および、死亡要因としての因果関係を有し、特に、糖尿病や高血圧を背景とした心血管疾患、肥満症、メンタル不調との因果関係は明らかであり、がん、呼吸器疾患、消化器疾患との因果関係も示唆されています。
 
2.2 研究結果の信憑性
超加工食品と疾病の因果関係に関する研究は、医学・薬学・心理学分野を横断する4つのデータベースを使用した系統的レビューを統計的分析方法によって解析したエビデンスレベルの最高ランクに位置するメタアナリシスを基盤としています。

更には、複数のメタアナリシスを俯瞰することで結論を導き出すことから、エビデンスレベルの最高峰と冠されるアンブレラレビューという研究手法を用いて科学的証明を果たしており、研究結果の信憑性は高いと言えるでしょう。

 
3. 超加工食品が体に悪い理由
明確な解明はこれから進められていく段階ですが、現時点で判明している超加工食品が健康リスクをもたらす主な理由としては、以下の2点が挙げられています。

1つ目は、食品中にトランス脂肪酸、あるいは、飽和脂肪酸が多く含まれていること。

2つ目は、食品中に糖分または塩分が多く含まれていること。

上記2点の結果として、一般的に、高カロリー傾向であることも要因として加えることができるでしょう。

また、今後の検討課題として、食物繊維ビタミン・ミネラルなどの微量栄養素の欠乏、腸内細菌叢に対する影響、人工甘味料や着色料、保存料や乳化剤など、化学的に合成された添加物、および添加物による相互作用などにも焦点があてられ、健康リスクとの因果関係が検討されるのではないかと予測されます。

商品を購入する際に、生命力を高め、健康の維持・増進に適った食品の購入促進を目的として、補足情報をパッケージに表示し、消費者が自身や家族の健康状態を勘案した上で、直感的に健康リスクを回避できるよう、欧州で導入された先進的取り組みによる栄養成分のパッケージデザイン方式をニュートリ・スコアと呼びます。
 

4. 超加工食品デトックス
NOVA食品分類で抽出されたゴールデン・ルールを基盤とし、現時点に於ける、ご自身や家族の食生活スタイルを振り返ることが超加工食品デトックスのスタート地点となります。

理想の食環境。その終着点は、オーガニック食材を用いた手作りの家庭料理です。

例えば、超加工食品の1つであるカレールー。

複数のスパイスやハーブ類、日常使いの生姜やニンニク、小麦粉を用いることでカレーは容易に作ることが可能であり、使用した食材は、他のメニューにも応用が可能。実は、コストパフォーマンスにも優れています。

超加工食品を日常使いで頻度も量も多く摂ることで、ご自身やご家族の健康を害し、梱包資材であるプラスチックなどの廃棄ゴミが増えることにより、結果として、地球環境へも悪影響を少なからず与えています。

とは言っても、ご家族の構成やお勤めの状況によっては、簡易に調理および摂取可能な超加工食品をゼロにすることは現実的ではないかもしれません。

その際には、使用頻度や量を調整することから始めることが心を平和に保ちながら継続できるポイントとなることでしょう。
 

5. まとめ
超加工食品は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパ地下、ディスカウントストアに於ける売場面積の8割を占有していると言っても過言ではない程、私たちの生活環境下に溢れています。

超加工食品を日常的に飲食している方は摂取量を減らしていくことで、化学物質過敏症など延伸上にある疾患も発症を予防することが可能となります。

また、成長過程にあるお子様が食す食品には、より目と心を配り、超加工食品にプリントされた魅惑的なキャラクター達から一定の距離を取ることも大切です。

多くはプラスチック梱包された超加工食品の購入を控えることで、波及的にプラスチック削減効果を齎し、ご家庭でもSDGs達成の一助となる社会貢献活動に参画していることを実感できるのではないでしょうか。

 
【参考文献/URL】
the BMJ
https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-077310
「Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes :
umbrella review of epidemiological meta-analyse」

World Nutrition Volume 7, Number 1-3, January-March 2016
「NOVA. The star shines bright.」
Monteiro CA, Cannon G, Levy RB et al. N

食の安全崩壊?GMO・ゲノム編集が健康と環境に与える影響【後編】

食の安全崩壊?GMO・ゲノム編集が健康と環境に与える影響【前編】

【家族・こども・私】プラスチックがもたらす健康リスクと環境汚染

山ガール・農業女子!人気アクティビティで注意すべきSFTSとは?

動物と環境と私たちの健康に深く関わるアニマルウェルフェアとは?

世界幸福度ランキング上位にも君臨するオーガニック先進国デンマーク

【家族・こども・私】発達障害は、なぜ増加しているの?

【日欧比較】「食と環境の健全化戦略」を通して見る相似と相違

脳内環境オーバーワーク?ストレスが引き金になる化学物質過敏症

【家族・こども・私】気候変動が健康に与える影響と未来予想図

【家族・こども・私】高コレステロールがこどもの未来に与える影響

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

wanobi

健康のベースとなる地球環境。生物多様性、世界の伝統文化、自然と人の協働により育まれた良質な食材をこよなく愛する運営者wanobi(医療・保健PHNs/Ns有資格者)が、女性・こども・家族のココロとカラダにとって大切なNEWSをcommon goodな視点に立脚し、お伝えします。日・仏・英3か国語で対応可能

-たべる・栄養, 女性の健康 -women's health-

© 2025 l'Essence de Santé | The BEST Wellness Program | well-being WANOBl Powered by AFFINGER5