睡眠は、私たちに回復する力を与えてくれます。
身体的疲労感、憤り、不安、悲しみからの回復
そして、思考し、新たな発見をする力を与えてくれます。
でも、身体的疲労感や不安、悲しみが強くなり過ぎると眠ることができず、
疲労困憊や抑うつ状態など、辛い症状に進んでしまうことも。
「睡眠」は生体リズムの中核を担います。
生体リズムを整えることが、良眠を迎えるための第一歩。
良眠を得ることで、からだとこころの不調から解き放たれます。
生体リズム・睡眠を調整する2つの光を操ることができるのはわたしたち自身。
上手に操りながら、夢の中へ、眩い世界へ、導かれましょう。
目次
2. 光・睡眠・サーカディアンリズムの関係
3. サーカディアンリズムの敵・味方
4. 概日リズム睡眠障害
5. まとめ
1.生体リズム
体内環境は、日周リズム、週内リズム、月周リズム、季節リズム、90分リズムという周期的なサイクルで変化を見せます。
これを生体リズムと呼びます。
例えば、日周リズムとして変化が見られるのは体温。
起床時が最も低く、午後3時頃にピークを迎えます。それでも、通常の日内変化は1℃以内です。
90分リズムでは、睡眠中のリズムにも発生しますが、より身近なところでは、集中力にも現れます。大学の講義等は主に90分に設定されていますね。
健全な生体リズムは、約25時間に設定されたサーカディアンリズム(概日リズム)を細やかに整えることで生まれます。
サーカディアンリズムは、46億年前に地球が誕生し、38億年前に地球上に生命が生まれ、30億年を超える歳月をかけて、生存のために最初に獲得した生理機能と推測されています。
3つのポイント
①朝の太陽光
②夜のメラトニン
③朝食
ここでは、睡眠と深く関わりのある
①朝の太陽光
②夜のメラトニン
について見ていきましょう。
2.光・睡眠・サーカディアンリズムの密な関係
サーカディアンリズムは凡そ25時間です。地球の自転に合わせてサーカディアンリズムは作り上げられました。
「でも、地球の自転は24時間では?」
そうですよね。
時計も24時間で設定されています。
しかし、生命が誕生した頃まで遡ると、地球の自転周期は約20時間だったのです。
その後、約5億年前のカンブリア紀で約21時間、霊長類が誕生した約3,500年前では約23.5時間と遅くなる自転に対応できるように、人体は約1時間の調整時間を設けたのだとか。
その調整を担うのが光です。
サーカディアンリズムは25時間設定ですので、うまく光を操らないと、どんどん生活リズムが後ろ倒しになり、仕事や家事など日常生活行動に支障をきたしてしまいます。
そうならないためにも、どのように光を操れば良いのか、具体例を見ながら、日常生活の中に取り入れてみましょう!
①朝の太陽光
朝、太陽光を浴びること。
起床時にカーテンを開け、清々しい太陽光を取り入れましょう。
更に、通勤や通学、軽めのウォーキングなどを活用し、外気を感じながら、太陽光を浴びることが有効です。
でも、雨や曇りの日はどうするの?と心配な声が聞こえてきそうです。
安心してください。
実は、太陽光ではなくとも、起床時に2,500ルクス以上の光を浴びれば、サーカディアンリズムのスイッチはオンになります。
2,500ルクス以上の光の目安は、午前9時から11時までの机上の明かり程度と言われています。
曇の日でも、実際には、10,000ルクス以上程度であるため、まず、起きたらカーテンを開けて日常行動を実践するだけで十分です。
なお、夜間には敬遠されるブルーライトですが、目覚めには有効です。
②夜のメラトニン
深い眠りにつくためには、体温の降下が重要です。
就寝前の入浴も、体温を一旦上昇させ、ぐっと下降させるために有効ですが、
からだの中でその役割を担うのが、脳の松果体(エンドウ豆ほどの大きさ)
から分泌されるメラトニンです。
メラトニンは光の無い暗闇で分泌が促進されます。
暗くすると眠れないという方もいらっしゃいますが、30分程度で消灯になるベッドサイドライティングを用いるなど工夫してみましょう。
この時のライトは、ブルーではなくオレンジライトが有効です。
3.サーカディアンリズムの敵・味方
【見えざる敵】
いわゆる、「睡眠」の邪魔をするもの
スマートフォン、アルコール、タバコ、ニュース、カフェイン、睡眠前の強度の高い運動
⇒主に、アクティブモードの交感神経を優位にするものや、ブルーライトの影響があるもの。
【味方】
朝食、軽度の運動、シエスタ、入浴
⇒体温を上げたり、脳の働きを活性化させるもの。または、夜の良眠に繋がるもの。
4.概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorder)
日頃から、光や食事のサポートを取り入れながら、約25時間のサーカディアンリズムの調整を行っていても、仕事や学業で不規則な生活リズムが続くと、体内時計は調節障害を起こし、睡眠時間帯の異常が発生します。
このような状態が持続することによって、結果として、倦怠感や食欲不振、頭痛などの症状に発展します。
この睡眠障害の状態を概日リズム睡眠障害と呼びます。
概日リズム睡眠障害には、夜更かしの睡眠相後退型、午後7時くらいには眠くなってソファーなどで眠ってしまう睡眠相前進型、サーカディアンリズムへの同調ができなくなるフリーラン型、不規則睡眠・覚醒型などがあります。
生活リズムの調整はとっても大切ですが、調整を試みても辛い症状が続く場合は専門医を訪ねてみましょう。
なお、睡眠障害を専門とする医師はまだ少ないのが現状です。
せっかく病院へ足を運んだのに冷たい対応をされ、病院と疎遠にならないために、下記日本睡眠学会でしっかり学びを深め、みなさんと向き合ってくださる医師を探してみましょう !
睡眠を専門にしている医師は、循環器内科、呼吸器内科、口腔外科、心療内科と専門となさっている領域が多岐にわたります。
どのようなバックグランドを持った先生を選べば良いのかは、ご自身の症状、健康診断結果にヒントがかくされています。
well-being WANOBIでも先生選びのご相談を承ります。
5. まとめ
睡眠は、1日中フル回転した心身をリフレッシュさせてくれます。
ちょっとした不調が起きても、「もしかしたら睡眠せい ?」と振り返ることは少ないかもしれません。
人間関係にしても、思考にしても、「何か最近上手くいかないな。」と感じたら、生活リズム、その中でも第一に、睡眠について振り返ってみることをお勧めします。
他人を変えることができませんが、自分は変わることができます。