女性の人生と共にある生理(月経)とはどのような状態か?正常?もしかして、病気が潜んでいるかもしれないサイン?仕事のパフォーマンスへの影響は?
毎月女性のカラダに起きている変化を理解し、本来のパフォーマンスを十分に発揮するためには何ができるか?一緒に考えてみましょう。
目次
1.1 月経サイクル
1.2 正常な月経と異常な月経の違い
1.3 産婦人科受診の目安は?
2. 月経サイクルと上手につき合う方法
3. 月経を健やかに過ごすためのアイテム
4. まとめ
1. 月経とは?
日常会話では、女性が経験する生理的現象を略して「生理」と呼ばれている「ゲッケイ」。
初めて月経を迎える「初経」から「閉経」を迎えるまで、「妊娠」に備え、女性の体内で周期的に繰り広げられている、脳-卵巣-子宮のコラボレーションから生まれます。
平均初経年齢は約12歳。平均閉経年齢は約50歳。妊娠・産後の休憩は入りつつも、約40年間、わたしたちと人生のほぼ半分を共にする月経。
妊娠に備えて、受精卵をキャッチするために準備していた子宮内膜というふかふかの“ベッド”を、妊娠が成立しなかった時に、ベッドを子宮から剥がし、体外に掃き出す役割も。
体内環境は、静かに、そして、ダイナミックに変化しています。
1.1 月経サイクル
月経開始日から次の月経開始日までの期間を月経サイクル(月経周期)と呼び、正常な月経サイクルは、25日から38日の範囲で毎月周期的に発生します。
最も多く見られる月経サイクルは28日周期。最も安定した月経サイクルが起こる年齢は、20歳代後半から30歳代。
脳(視床下部・下垂体)と卵巣の連携により、複数のホルモンが協奏曲を奏で、月経サイクルを生み出します。月経サイクルの中間地点で起きる排卵を軸に、サイクル前半と後半では、体温が0.3℃から0.5℃の違いが!これを基礎体温の2相性と呼び、ホルモン分泌が正常か?妊娠しやすい時期か?の指標にもなります。
脳との連携プレーで発生する月経サイクルだからこそ、強いストレスを受けることによっても、サイクルに変調をきたします。
1.2 正常な月経と異常な月経の違い
正常な月経か?病気が潜んでいる可能性がある月経か?見極めるためのポイントは4つ!
1) 月経サイクル・経血期間の長さ
《月経サイクル》
前回の月経開始から39日以上3か月間のうちに月経が来ない状態を「希発月経」と呼びます。逆に、24日以内に月経が来る状態は「頻発月経」。強いストレスや肥満の影響による場合もある一方、背後に、糖尿病、甲状腺や副腎の病気、全身性エリテマトーデスなどが潜んでいる可能性や子宮体がんのリスクを高めてしまう可能性もあります。
《経血期間》
正常な月経時出血持続期間は、3~7日間。最も多く見られる範囲は、4~5日間。常に、出血持続期間が2日以内や8日以上が続いている場合は、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵巣機能不全の可能性もあります。
2) 月経の量
正常な月経時出血量は、トータルで20~140ml。多くは、2日目までに全体の80%の出血量が見られます。
「出血量が多い」目安は、「生理用品を1~2時間で交換する必要がある」「就寝中に寝具を汚してしまい熟眠できない」「就寝中にも生理用品を1~3回交換する」こと。
「出血量が少ない」場合、排卵を伴わない月経の可能性もあります。妊娠を希望する女性では特に要注意。
3) 月経に伴う痛みの強さ
約70%の女性に月経痛が見られます。その主な原因は、子宮内膜のベッドを体外に掃き出すために必要な子宮の収縮を促す物質「プロスタグランジン」。少し横になって休息をとり、市販の鎮痛剤で治まる場合は、そのまま様子を見てみても良いです。
4) 月経に伴うココロとカラダの変化
月経前3~10日間に起きる、イライラ、気分の落ち込み、集中力の低下、頭重感、乳房の張り、下腹部の膨満感、足のむくみなどのココロとカラダの変化。これを月経前症候群PMS(premenstrual syndrome)と呼びます。日常生活に支障を来さない程度のものも含めると約80%もの女性に見られる変化。
また、男性に比べて約3.6倍も発症のリスクが高い片頭痛は、エストロゲン分泌の急激な低下によっても誘因されます。月経サイクルでは、排卵時、月経開始時にエストロゲン分泌が低下するため、片頭痛が起こりやすくなります。
1.3 産婦人科受診の目安は?
「いつもと違う」「何かおかしい」という自分のカラダに対する感覚も重要です。以下の視点と共に、自分のカラダとココロに耳を傾けて、病院へ足を一歩進めましょう。長く放置しなければ、予防できる可能性が高まります!
1) 月経サイクルが24日以内が続いている、月経の回数が年4~5回以下の場合。
2) 貧血の症状がある。
3) 月経時の出血量が多すぎる、または、少なすぎる。
4) 月経痛に対して、市販の鎮痛剤では治まらない。月経の度に吐き気を催す。一歩も動けない。頭痛が増悪する。
5) 月経前症候群PMSが原因で日常生活に支障を来す。
2. 月経サイクルと上手につき合う方法
《月経サイクル全般》
1) 毎日20分以上のウォーキング、ダンス、ヨガ、ピラティスなど定期的なエクササイズを実施する。月経痛がある場合はヨガ、ストレッチなど緩やかなエクササイズ・ウェアを選らぶ。
2) バランスのとれた栄養補給。鉄分を意識して摂る。
3) 基礎体温を測る。
4) 食塩摂取量1日6g未満を目指す。
5) 日常生活にアロマセラピーを取り入れる。
6) 卵巣への悪影響が大きいためタバコを吸わない。
《月経前&月経中》
1) 牛乳やチーズなどの乳製品を積極的に摂る。
2) アルコール類やカフェインは控えめに。
3) 下腹部膨満感、むくみがある時には、いつも以上に減塩。
4) 緑黄色野菜などビタミンを多く含む食べ物を意識して摂る。
5) 甘いものが欲しい時はフルーツで補給。
3. 月経を健やかに過ごすためのアイテム
《生理用ナプキン》
一般的な紙ナプキン(石油由来成分)、オーガニックコットン、布ナプキンなど。
《装着型生理用品》
タンポン、月経カップなど。
月経カップは、最長12時間装着可能、医療用シリコーン100%使用の物もあり、紙ナプキン廃棄量を減らす、繰り返し使えてお財布にも優しい、月経量などを確認できるため早期に異常を発見しやすいなどのメリットがあると言われています。
どの素材・タイプを利用するかは、どれが一番心地良いか?安心感があるか?使いやすいか?など、あなたの感覚・想いを一番大切にして選んでみましょう!
《月経サイクル管理》
月経サイクルを「見える化」することでホルモン分泌の異常発見や妊活に役立ちます。基礎体温計(オムロン、テルモなど)と記録用アプリを用いて管理すると便利。
4. まとめ
わたし自身の、そして、周囲のひとからの、ちょっとした理解とサポートがあるだけで、ダイナミックなホルモンバランスに対処し、パフォーマンスを安定させることが可能な月経サイクル。
職場では、まだまだ、女性に対して、男性の比率が多い中、男性の管理職からも理解とサポートが得られるのは理想的。各部署・部門に女性のウェルネスリーダーを設置して頂くのも良案だと思いますが…。
アフターコロナも、全社員向けに自由裁量で毎月5日間、上司に理由を問われることなく、テレワークができる環境が整備されることが理想的ではないでしょうか。女性は、月経サイクルの症状に合わせて、月経前、月経中に利用できたら嬉しいですね。
でも、まずは、自分で「できることから始めてみる」ことがゴールに向かうための最短コース。
一歩前に踏み出すことで「すぐにできる!」5つの提案
1) 自分のカラダ・月経サイクルに関心を持つ
2) 我慢せず社内外の医療スタッフまたは上司に相談する
3) 定期的な運動など健康的なライフスタイルを維持する
4) かかりつけ産婦人科医を持つ
5) 「月経前だから、月経中だから仕方がない」と割り切る
少しずつ、できることから始めてみませんか?