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【こどもと家族の健康】高コレステロールがこどもの未来に与える影響

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【こどもと家族の健康】高コレステロールがこどもの未来に与える影響

コレステロールが高くなる原因は、食事由来とは限りません。

高コレステロール血症は、40歳以上の男性にのみに見られる特有の病気でもありません。

女性でも、メノポーズ期を境に上昇する傾向がみられることも事実。

一方で、年齢の経過に伴って増加する訳でもありません。

高コレステロール血症は、子どもでも発症する可能性のある病気。早期治療に繋がらず、心筋梗塞などの冠動脈疾患を発症。残念ながら、若年死に至るケースもあります。

家族として、どのようなポイントに注意し、治療に繋ぐことができるのでしょうか?

目次


1. コレステロールとは?
1.1 形成過程と分類
1.2 極悪ではないコレステロール
1.3 卵が原因?高コレステロール
2. 高コレステロール血症
2.1 どこからが高コレステロール?
2.2 高コレステロールと病気
3. 家族性高コレステロール血症とは?
4. 早期治療に繋がる!家族はゲートキーパー
5. まとめ

 

1. コレステロールとは?
1.1 形成過程と分類
コレステロールは、その役割や形態(直径と密度)を分かりやすく示すため、LDLコレステロールとHDLコレステロールに分類され、通常は、前者を悪玉コレステロール、後者は善玉コレステロールと呼ばれています。

実際には、出自は同じリポ蛋白質。

各々の役割は以下の通りです。

肝臓を経由して細胞内に取り込まれたコレステロールを全身に運ぶ役割を担うLDLコレステロール。

血管や細胞から余分なコレステロールを引き抜き、肝臓へ戻し再利用を促す役割を担うHDLコレステロール。

一般的に、HDLの数値が単独で問題視されるケースは多くはありません。

一方で、血管や細胞に過剰なコレステロールが増加することで動脈硬化を惹起し、心筋梗塞などの病気を誘引するため、「コレステロール=LDL=悪」のイメージが強いのではないでしょうか?

1.2 極悪ではないコレステロール
コレステロールは、良いイメージよりも悪いイメージが先行しています。

でも、実際は、カラダにとって無くてはならない大切な存在。

コレステロールは、皮膚や卵巣などの細胞膜の材料であり、性ホルモン(女性ホルモン)などステロイドホルモンやビタミンDを体内で合成するための誘導体、脂肪の吸収を担う胆汁酸の合成材料にもなるマルチプレイヤー。

1.3 卵が原因?高コレステロール
動物性由来のバター・マーガリンや乳製品、肉類など飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を多く含む食品やコレステロール含有量が高い卵(鶏卵・魚卵)は高コレステロールの元凶であると思っていませんか?

一理ありますが、それが全てではありません。

多くは食事由来であると思われがちなコレステロールは、食事内容に因らず、体内でも合成されています。

しかも、体内で合成されるコレステロールの割合のほうが3倍以上も多い事実。

食事由来のコレステロールが過多となった場合、体内で合成されるコレステロール値は減少するというカラダの仕組みがある一方、肉類などに含まれる飽和脂肪酸を豊富に含む食事は、コレステロールを過剰に作る原因となるという現実に変わりはありません。

疾患を有していない方には特段制限は設けられていませんが、高コレステロール血症などで治療中の場合、食事からのコレステロール摂取量は1日200mg未満に留めることが推奨されています。

Mサイズ1個で約200mg強もコレステロールを含有する鶏卵。アミノ酸バランスに優れた良質なタンパク源であり、卵黄だけではなく卵白と攪拌することでコレステロールを緩和するとの諸説もありますが、食べ過ぎに注意すること自体は間違いではありません。

 
2. 高コレステロール血症
2.1 どこからが高コレステロール?
実際には、どこからが高コレステロール血症と呼ばれるのでしょうか?

成人では、血液検査の結果、LDLコレステロールが140mg/dL以上で高コレステロール血症と診断されます。

一方で、140mg/dLを超えたことを理由にすぐに服薬開始となる訳でもありません。

服薬を要する薬物療法は、LDLコレステロール値、HDLとLDLコレステロールの割合、その他の検査値や画像所見、年齢や性別、家族歴、喫煙などのライフスタイル等を医師が多角・複合的に検討した上で総合的に判断し治療開始。

LDLコレステロールが180mg/dL以上と顕著に高い場合、遺伝性疾患である家族性高コレステロールの可能性も併せて検討されます。

薬物療法以外では、食事や運動療法の上再検査または経過観察・追加検査など、各人のリスクに合わせて治療方針を決定。

食事由来のコレステロールが体内に吸収される割合は平均で50%程度。個人差も大きい特徴を有しています。

コレステロール同様リポ蛋白質に属する中性脂肪は、検査前までの食事内容を大きく反映。中性脂肪の方がよりウェイトコントロール、食事内容の見直し等、食事・運動療法が功を奏しやすい特徴があります。

2.2 高コレステロールと病気
LDLコレステロールの持続高値は、動脈硬化が進行する要因となり、命に係わる重大な病気を招きます。

その代表格とも言える疾患が、狭心症や心筋梗塞など心臓を取り巻く血管病である冠動脈疾患。突然死との関連も示唆されています。

 
3. 家族性高コレステロール血症とは?
本疾患の病態像は、LDLコレステロールを取り込むLDL受容体が減少しているため血中LDLコレステロール濃度が上昇している状態。

血液検査のLDLコレステロール値、家族歴、アキレス腱肥厚などフィジカルアセスメント結果などを加味し、遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症と診断されます。

小児も含め、300人に1人の割合で存在する、決して稀な病気ではありません。

心筋梗塞などの冠動脈疾患発症確率は、家族性高コレステロール血症を有することで、ライフスタイルなどに起因する通常の高コレステロール血症の患者さんと比較し、男性で平均46.5歳、女性平均58.7歳と、凡そ15年程度早く発症するという報告があります。

家族性高コレステロール血症は、出生時から長らくLDLコレステロール高値が持続している状態のため、冠動脈疾患の発症が早まると言われています。

服薬治療の対象となるのは、10歳以上の小児期から。

 
4. 早期治療に繋がる!家族はゲートキーパー
市区町村などの自治体や職場などで定期健康診断の機会が提供される恵まれた環境の大人に対し、学校健診などでLDLコレステロール値を検査する機会は限られています。

お子さんがいらっしゃるご家庭では、第1に、ご自身を含めた成人家族は全員、健康診断をお受けになること。家族の健康情報がお子さんの健康を守る上でも有効です。

そして、ご夫婦、ご血縁の家族間でも検査結果を共有し食習慣を中心にライフスタイルを確認すること。

最後に、顕著に高いLDLコレステロール値の場合は、一度、循環器や糖尿病・代謝内科などの専門医にご相談なさること。

過度な心配はご無用ですが、これら3つのポイントが早期治療へ繋ぐ架け橋となり、重大な病気の発症を予防する手立てとなります。

 
5. まとめ
LDLコレステロールは、悪玉にもなり得る可能性を秘めていますが、同時に、自分と家族を思いやる視点を与えてくれる指標でもあります。

家族性高コレステロール血症を早期治療に繋げ、重大な病気の発症を防ぐゲートキーパーの役割を担っているのは「親」を中心としたご家族です。

そのためには、健康診断を受けて結果に目を通し、対処方法を検討することが大切。

そして、遺伝性・非遺伝性を問わず、食事由来の高コレステロールを回避するためのライフスタイルを取り入れることが良好な経過で過ごすためのポイント。

予防の戦略は1つだけではなく、個々人のバックグランドをベースに適宜調整することで改善の糸口が見えてきます。

【参考文献】
「臨床栄養 第135巻」2019年7月1日発行
 医歯薬出版株式会社
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
 日本動脈硬化学会

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医療・保健の国家資格を有し、医学系学会で学びを深め、グローバルでクリエイティブな環境、読書とアート、世界の建築と庭園、お料理とグローカル食材をこよなく愛する運営者wanobiが、これまでに培った知識と経験、学びのアップデートを基に、女性・こども・家族のココロとカラダにとって大切な情報をお伝えします。日・仏・英3か国語で運営

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