エクササイズの後は、モヤモヤ、イライラしていた気持ちも一転爽やかに!
このような経験はありませんか?
それは、偶然の出来事ではありません。
エクササイズを行うことで現れるココロの変化。それは、エクササイズを行うことで分泌促進されたホルモン(脳神経伝達物質)が各々の機能を発揮した証です。
最近、「疲れが取れにくい」「良く眠れない」「なかなかココロが晴れない」等ちょっとした不調を感じることはありませんか?
もしかしたら、新型コロナウィルス感染症により、エクササイズの機会が減少したことも原因の1つかもしれません。
エクサイサイズがココロに与える影響について、ホルモンを介して見てみましょう!
目次
2.エクササイズとホルモン
3.どのくらいの運動量が良い?
4.ホルモンによる影響とは?
5.まとめ
1.運動不足とココロの不調
「オフィスなどで座位時間が長くなれば長くなるほど寿命が短縮する」というセンセーショナルな記事を目にしたことはありませんか?
WHO(世界保健機構)は、エクササイズの習慣があるひとと比較して、エクササイズ習慣がないひとでは、死亡リスクが20~30%上昇すると報告しています。
オフィスワークで座ったままでいると、肩こりや腰痛、夕方くらいには脚のむくみなど、様々な症状を呈しやすくなります。
コロナ禍に於いては、活動量が低下したことで、肩こり、腰痛、体重が大幅に増加するなど、カラダの変化や不調と運動不足には強い相関関係があるという事実を日々実感する機会が増えました。
一方で、「ちょっとココロが晴れないな」と思った時に、「そう言えば、最近運動していないからかも…」と咄嗟に考えるでしょうか?
でも実は、メンタル不調の原因の1つは、運動不足。
それは一体どうしてでしょうか?
エクササイズに伴い分泌されるホルモンの役割から、その謎に迫ってみましょう。
2.エクササイズとホルモン
エクササイズを行うと優位に増えるホルモンは3つ。
厳密には、神経伝達物質型ホルモンと呼ばれる、セロトニン、ドーパミン、そして、ノルアドレナリン。
ホルモンの名前 | 主な分泌部位 | 主な働き |
セロトニン | 腸 | 気分を高揚させる |
ドーパミン | 脳前頭前野 | 爽快感をもたらす |
ノルアドレナリン | 副腎髄質 | 集中力を高める |
これら3つのホルモンは、気分や感情と密接に関わっています。
ウォーキングやヨガなどの心地よい程度の有酸素運動は、幸福感を与えるセロトニンの分泌を促します。また、運動強度の上昇に伴い、爽快感や集中力を高め仕事モードのスイッチをオンにするドーパミンとノルアドレナリンの分泌が促されます。
フィットネスクラブなどでは、しなやかなボディラインや筋肉・筋力強化といったカラダのメンテナンスを目的とした運動強度の選択が主ですが、ココロに作用するホルモン分泌との関係性を基準にエクササイズの種類や強度を選択することもココロの不調回避には必要です。
また、短時間集中で仕事のパフォーマンスを高めたいなら、ランニングマシン等を利用して、仕事の合間に20~30分程度のフィットネス時間を設けることも良いかもしれません。
3.どのくらいの運動量が良い?
2018年にノルウェー政府管轄機関主導で行われた、大学生(18歳から35歳)50,054名が対象の「エクサイサイズ、メンタルヘルス、自殺企図の関連性」に関する調査結果(2010年、2014年、2018年調査実施 :SHoT 2018)では、全く運動習慣が無い学生は、毎日エクササイズを行っている学生と比較し、メンタル不調の傾向が約2倍であると公表されました。
週に2~3日程度運動習慣がある学生は、毎日エクササイズを行っている学生と同等レベルにココロが良好に保たれている一方で、週1日以下になると全く運動習慣が無い学生と同等レベルにメンタル不調傾向が強くなる結果に。
ココロを良い状態に保つには、実際に、どのようなエクササイズをどのくらい行えば良いのでしょうか?
エクササイズの種類は、有酸素運動にレジスタンス運動を合わせて実施するのが理想的。
有酸素運動のみでも、以下の頻度と強度以上の実施レベルを保つことができれば、ヘルスベネフィットは十分に高いのです!
有酸素運動 | 強度 | 頻度 |
1 | 中等度(心地よい、息が軽く上がる) | 週150分から300分 |
2 | 高度(激しい、キツイ、息が上がる) | 週75分から150分 |
緩く毎日続けたい方には1番がおすすめ。時間の確保が難しい方は、2番がおすすめです。1番と2番のハイブリット型も効率に成果が得られます。
中等度の有酸素運動が習慣化した時点で、レジスタンス運動を週2日ほど追加してみるのも良いのではないでしょうか?
4.エクササイズホルモンと腸内・睡眠環境
【腸内環境】
“幸せホルモン”として名高いセロトニンは、約90%が腸から分泌されており、腸内細菌叢(腸内フローラ)が分泌過程にも大きな影響を与えています。
腸内環境とココロ(メンタル)は脳腸相関の一環として相乗・相殺作用を及ばしあっているのかもしれません。
“健全な高揚感”をもたらす“幸せホルモン”のセロトニンとドーパミンを作る原料はタンパク質。
タンパク質が合成される際に鉄分が必要となるため、日頃から鉄分も不足していないか要チェック!生理中や妊娠中などで血液が通常より体内から流出し、鉄分が少なくなる時期は、より配慮が必要です。
セロトニンの分泌には、太陽光も重要な役割を担っているため、ウォーキングなどで日光浴も同時に行うことが効果的。
優れたホルモンを作るには良質な原料が必要。食事バランスにも目を向ける必要がありそうですね。
【睡眠環境】
よく眠るためにはエクササイズが重要であり、適度なエクサイサイズを行うことで健やかな睡眠がもたらされます。
質の高い睡眠は、血糖値のコントロールなど代謝を良好に維持するインスリンや成長ホルモン、ストレスに対応する能力を高めるバソプレシン、愛着形成を促しコミュニケーション能力を高めるオキシトシン、免疫力を高めるプロラクチンなど、様々なホルモン分泌を適切に促す働きを担っています。
質の高い睡眠へ誘うには、日中のエクササイズが有効です。
ボクササイズなど強度の高いエクササイズは交感神経を優位にし、覚醒を促すため、眠りにつき難くします。お休み前のエクササイズには要注意!
5.まとめ
エクササイズによって分泌が促されるホルモンは、主に、幸福感と集中力をもたらすものばかり。
「仕事のパフォーマンスを上げたい」「笑顔の素敵なママでいたい」その想いを叶えるための手段がエクササイズ。
「時間がない」と言ってエクササイズを後回しにするのは実はもったいないことかもしれません。
ストレスフルな仕事や家事の合間にエクササイズを取り入れてみることがウェルビーイングに過ごすためのポイントです。