紫外線など外界からの刺激や昆虫・ホコリなど外敵のリスクに常に晒されるお肌。
「疲れ」という文字。病ダレの中に皮膚の「皮」という文字が内在しているように、体内環境が悪化した状態であれば、皮膚に疲労感として現れます。
一方で、良質な栄養をカラダの内外から与えてあげることで、ターンオーバーを繰り返す皮膚構造、いわゆる、お肌の状態に変化が見られるようになります。
良好なお肌の状態を保つには、内因となる食事・睡眠・運動のライフスタイル、そして、外因となる適切なスキンケアが大切です。
スキンケアアイテムの1つ、キャリアオイル。代表的な3つのキャリアオイルを概要編・実践編・品質編の3編に亘りご紹介します。初回の本日は概要編です。
目次
2.毎日のスキンケアに役立つキャリアオイル3選
2.1. ホホバオイル
2.1.1 原産国・特徴
2.1.2 お肌へのはたらき
2-2. アルガンオイル
2.2.1 原産国・特徴
2.2.2 お肌へのはたらき
2-3. ローズヒップオイル
2.3.1 原産国・特徴
2.3.2 お肌へのはたらき
3. まとめ
1.キャリアオイルとは?
キャリアオイルとは、ホホバやグレープシード、オリーブ等、主に、植物の種子を圧搾することにより抽出するオイルの総称です。皮膚との親和性が高く、吸収され易いため、そのままお肌に塗布することが可能。
オイルは皮膚から吸収され、成分を全身へ“運ぶ”役割を担うことから、キャリア”Carrier”オイルと呼ばれています。精油など直接お肌に塗布することができない基材はキャリアオイルで希釈し用います。別称、植物オイル。
2.毎日のスキンケアに役立つキャリアオイル3選
2.1 ホホバオイル
2.1.1 原産国・特徴
砂漠質の土壌に生息する高さ約2メートルほどのツゲ科の低木です。小さくて丈夫、かつ、その表面は柔らかく滑らかな緑葉が密集。オリーブ大の果実をたわわに実らせます。
この果実は、乾燥によって亀裂が入り、食用にもなる茶色の種子を放出。この種子から抽出したオイルがホホバオイルです。
未精製タイプのホホバオイルは、黄金に輝くゴールド!
アメリカ南西部やメキシコ北部に自生し、主な原産国は、アメリカ、メキシコ、イスラエル、アルゼンチン。ホホバの栽培は、農地の砂漠化を抑止し、砂漠地帯に暮らす住民にも潤いをもたらすことが期待されています。
2.1.2 お肌へのはたらき
乾燥肌、脂性肌を問わず、すべての肌質に合い、ヘアケアにも役立つため、口紅やクリームなど様々な化粧品の基材としても用いられています。
常温では液状で、低温では固形になる植物性ワックス(液状ロウ)。脂肪酸組成の約70%を飽和脂肪酸であるステアリン酸が占めるため、酸化しにくく、保存性に優れるという特性があります。
2.2 アルガンオイル
2.2.1 原産国・特徴
アルガンオイル原産国として名高いモロッコは、アフリカ大陸の北西にある王国で、東にアルジェリア、西に西サハラ、北はスペインの飛び地と接し、地中海と大西洋に囲まれた国。地中海に面する北部は温暖な地中海性気候。南部一帯は乾いた砂漠性気候と多様性に富んだ国土を有しています。
アルガンツリーは、アカテツ科に属する灌木で、城砦に護られた南西部の港町エッサウィラから、大西洋沿岸を南下し、リゾート地として名高い町アガディールに至る一帯にかけて多く自生。
地中の水分を吸い上げるために、樹高の5倍にも伸びると言われるアルガンツリーの根。たくましく育ったアルガンツリーに実る果実。その種子からアルガンオイルは抽出されます。
黄金に輝く幻のオイル。抽出される植物油は100gの実から僅か1g。この貴重なオイルがわたしたちの肌を潤します。
2.2.2 お肌へのはたらき
灼熱の太陽や、乾燥に晒される環境の中で、モロッコには、肌や髪が艶やかな女性が多いと言われています。
お肌の衰えの最大の要因は、紫外線による光老化。そして乾燥です。肌を若々しく保護するアルガンオイル。その理由を成分から探ってみましょう!
アルガンオイルの主な特長は、オレイン酸の割合が脂肪酸組成の約半数を占め、リノール酸などがバランスよく含有していること。
オレイン酸は皮脂に近い成分であることから、肌をふっくらとさせると共に、乾燥から肌を守り保護する役割を担います。
リノール酸は水分の蒸発を防ぎ、うるおいを保つエモリエントとして利用され、肌の水分・油分バランスを整え、肌荒れ、吹き出物、抜け毛などのトラブルから遠ざける役割を担います。
また、健やかさの源泉と呼ばれるビタミンE(トコフェロール)を高率に含有。
活性酸素を取り除き、抗酸化に役立つビタミンEは、紫外線から肌を守り、メラニンの沈着を抑え、更には、健やかな毛髪を育てる働きもあると言われています。
皮膚からも直接吸収され、血液のめぐりを促し、肌の衰えを緩やかにするなど、マルチな活躍が期待されるエース成分。
2.3 ローズヒップオイル
2.3.1 原産国・特徴
ローズヒップは、バラ科の果実で、原産地はヨーロッパから、北アフリカ、西アジア、南米まで広く分布しています。
グミの実に似た卵型の真っ赤な実を乾燥させ、種子を取り除いて砕いたものを、ローズヒップ・ティーやジャム等食品として用います。
種子は、低温圧搾法などで丁寧に抽出され、ローズヒップオイルとして生まれ変わり、スキンケアアイテムとして活用。
史実では、紀元1世紀、ディオス・コリデスという軍医によって書かれた、ヨーロッパにおける薬物書の原典「薬物誌」にも登場し、中世には、かの有名なドイツ人修道女ヒルデガルドによっても、効能の高い植物として広く伝えられました。
現在の主な生産地である南米では、「不老長寿の秘薬」として、古来より大切に用いられていたと言われています。
2.3.2 お肌へのはたらき
ローズヒップオイルは、リノレン酸(n-3系)とリノール酸(n-6系)を始めとした不飽和脂肪酸を豊富に含むオイル。この2つの成分により、肌にハリをもたらし、きめを整え、潤します。
21%ものパルミチン酸を含む数少ない植物油の1つでもあり、お肌への栄養をギュッと閉じ込めた、天の恵みと称される配合。
アルガンオイルと同じく、オレイン酸が脂肪酸組成の半数以上を占めていることから、私たちのお肌にも馴染みやすく、皮脂分泌を助けて吹出物を防ぎ、脂性肌の油分バランス調整に効果的という特徴があります。
3. まとめ
代表的な3種のキャリアオイル。いずれも原産地は灼熱の太陽が照り付ける乾燥・砂漠地帯。
これらの過酷な環境要因は、お肌の状態へ強い影響を与えるストレッサーとなります。
過酷な環境下で植物が蓄えた成分。継承された知恵と知識で抽出し、日々のケアに活用してきた現地のひとびと。
私たちのウェルエージングにも役立つキャリアオイル。肌タイプや季節に合わせて、フェイス・ボディ・ヘアと全身に活用できます。毎日のセルフケア用に1~2本常備してみてはいかがでしょうか。
【注意】
自然由来のものがあなたにとって常に安全・安心なものとは限りません。
ご利用に際しましては、使用前に、腕の内側部など柔らかいお肌の部分で少量ためしてからお顔や広範囲の部位に使用することをおすすめします。
また、使用後に、お肌のかゆみ、発赤、違和感がある場合は、ご利用を控え、皮膚科専門医にご相談ください。