なんとなく、朝型や夜型といった生活リズムのタイプで、そのひとのイメージが築き上げられていると感じられることはありませんか?
たとえば・・・
【朝型】まじめ、勤勉、ビジネスマン、お年寄り
【夜型】研究者、アーティスト、サラリーマン、若者
そこで、ちょっとした疑問が湧きあがります。
朝型と夜型は環境要因が強いのか、もともと個体差があるのか?
そもそも、
自分は朝型なのか、夜型なのか?
はたまた、
朝型と夜型はどちらが良いのか?
さらには、
朝型から夜型へ、夜型から朝型へシフトは可能か?
朝型と夜型が生まれる要因から、果たして、自分はどちらのタイプか?まで
さっそく見ていきましょう!
目次
2. 生活リズムに2つのタイプが発生する理由は?
3. 生活リズムタイプ別の生活習慣と病気、学力の関係は?
4. まとめ
1.朝型、夜型とは?
概ね25時間のサーカディアンリズム(概日リズム)にも、生活行動パターンには個人差があります。
この個人差をクロノタイプと呼び、その生活行動パターンの指向性に基づき、
朝型、夜型に分けられます。
例えば、朝型に分類されるひとは、起床・就寝時間が夜型のひとと比べて
早い傾向が見られます。
それはなぜか?
この生活リズムパターンの背景の1つとして、体内環境の違いが挙げられます。
朝型のひとは、夜型のひとに比べて、体温や、夜のメラトニン、朝のコルチゾールといった
ホルモン分泌ピーク時刻が早いのです。
いわゆる朝型タイプは、朝早くに起きることが苦にならず、休日も平日とほぼ変わらない時間帯に目覚め、朝食をしっかり摂り、朝活に勤しむなど、朝から活動的なひと。
一方の夜型タイプは、どんなに頑張っても21時や22時など、夜早い時間帯に眠りにつくことができず、0時を廻ったあたりから、やっと眠気が出てくるひと。
当然、朝は苦手…。朝食も食べないか、軽めのもので済ませたい。
仕事のパフォーマンスは午後から上がってくる。
アフターファイブは元気いっぱい!
「ねぇ、いいお店見つけたから飲みに行こうよ!」「夜はこれからぁ!」
「… 若いわね」と思われがちなひと。
朝型に属するひとは人口の約40%、夜型に属するひとは約30%、残りの30%程度が朝型と夜型の中間に属するといわれています。
2.生活リズムに2つのタイプが発生する理由は?
生活リズムに朝型と夜型の2つのタイプが発生する要因として、年齢や性別、遺伝といった元々備わっている生物学的要因と、光の照射時間や住んでいる場所など地理的条件に左右される環境要因が考えられます。
でも、なぜ、そもそも朝型と夜型の2つのタイプが生まれたのか?
それは、人類の進化の過程で生存率を上げるためと言われています。
例えば、部族の全員が朝型、または、夜型のみで構成されている場合、就寝時間が同一で、外敵が襲ってきた際、察知し逃走・闘争することができずに滅ぼされてしまう可能性が上がるというシナリオが容易に考えられます。
これを避けるために、生体が獲得した防御方法の1つがクロノタイプ。
生活リズムパターンを変えようと思ってもなかなか難しいこともあります。
それは、生活リズムパターンを認定する最終決定権は、概ね、遺伝子情報に刻み込まれた生物学的要因が握っているから。
3.生活リズムタイプ別の生活習慣と病気、学力の関係は?
わたしたちは、「社会」という枠組みの中で生きています。
「社会」は、過半数を超えるひとたちの行動・思考パターンを中心に構築されています。
特に、社会生活の中核を成すのが、学業と就業。
いずれも、開始時間は、概ね朝8時から9時頃、終了時間は18時頃です。これに、通勤・通学時間も加味すると、自ずと起床時間は決まってきます。
この時間設定、夜型タイプのひとにはちょっと不利。
「夜更かししているからだよ。」とレッテルを貼られてしまうこともあります。
社会は、朝型タイプに合わせた時間設定になっているため、夜型タイプのひとは睡眠時間が短くなりがち。
そこで起きてくる健康リスクは、肥満、うつ病、不安障害、糖尿病、がん、
心臓発作、脳卒中。
実際に、これらの健康リスクを抱えている割合は、夜型タイプで多くなっています。
特に、思春期後期の高校時代に夜型傾向が見られると、それ以降、うつ病を発症しやすいということが調査の結果、判明しています。
一方、国連開発計画が著名な経済学者や開発の専門家を招集し発表を行っている人間開発報告書中の人間開発指数によると、国民総所得、学習到達度、知能指数が高い国ほど夜型傾向を示すことが示唆されています。同時に、朝型傾向には、「誠実さ」といった人格的側面と相関が見られるとの結果に。
何を良しとし、何を選択するか?
社会全体で統一が必要?
個体差にも配慮すべき?
皆さんは、どのように考えますか?
4.まとめ
生活リズムパターンは、(超)朝型タイプと(超)夜型タイプ、そして、中間型タイプに分類されます。
一方、社会生活は朝型タイプに合わせたシステムで成り立っています。
社会システムに合わせようと思っても、遺伝子情報として組み込まれた
クロノタイプは、自分の頑張りだけでは調整が難しいこともあります。
アフターコロナでは、企業に於いては、生産性を向上させるという観点からも、
テレワークやフレックスタイム制を推進・拡充することも一案でしょう。
個人的には、健康があっての仕事なので、自分の生活リズムタイプに合わせた
仕事選びというのも1つの選択肢となってくるかもしれません。
そして、概日リズムでは、1時間程度の猶予時間があり、概して、あるがままに
任せ過ぎると、就寝時間が刻々と遅れていく一方となります。
タイプ別で、中間型や夜型タイプでも中間型に近い方は、朝型にシフトするよう
戦略的生活リズム構築を行うことがベター。
戦略的朝型シフトで重要なことは、例え就寝時間が遅くなっても、起床時間は変えずに固定すること。これを1か月程度継続することで、朝型にシフトしやすくなります。
生活リズムを整えるのは、個人と社会双方の配慮が必要ですが、まずは、自分でできることからチャレンジ!