女性の健康をライフサイクルに沿って、縁の下の力ちとして支えてくれる
主要な栄養素は4つ!
私たちのからだを取り巻く、骨・血・妊娠を円滑に豊かにする栄養素は何か?
さっそく見ていきましょう。
1.女性を支える栄養素
私たちのからだを形作る栄養素は、大きくグループ分けをすると、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5つに分けられます。
このうち、たんぱく質、脂質、炭水化物は3大栄養素と呼ばれており、エネルギー源となります。
3大栄養素を中心に、ビタミン、ミネラルを上手に取り入れて、いわゆる“バランスの良い食事”の完成!
「5大栄養素の残り2つビタミン、ミネラルの働きは何?」と、ふとした疑問が…。
実は、女性にとって重要な栄養素は、このビタミンとミネラルの中にあるのです!
1.1 ビタミン
ラテン語で「生命」を意味する「VITA」が語源
からだの機能を正常に維持する働きを担い、生きていく上で無くてはならない栄養素!
特徴 | ヒトに不可欠なビタミンは13種類 必要量はごくわずかでも、基本的に体内で作ることはできず、食べ物から摂らないと様々な欠乏症状を引き起こす。 |
働き | ・糖質、脂質、たんぱく質の代謝を円滑に進めるための潤滑油となる。 ・血管、皮膚、骨、粘膜、新陳代謝など美と健康を保つメインサポーター |
種類 | 1.脂溶性ビタミン(A・D・E・K) 水に溶けにくく、アルコールや油脂に溶ける性質を持つ摂りすぎると頭痛や吐き気の原因となる。 通常の食事では問題はないが、サプリメントで摂る場合は注意が必要。 2.水溶性ビタミン (B1,2,6,12, C,ナイアシン、葉酸、パントテ酸、ビオチン)水には溶けやすいが、油脂には溶けにくい性質を持つ。たくさん摂っても体内に蓄積されず排泄されるため、毎食一定量を摂る必要がある。 |
1.2 ミネラル
からだを構成する元素のうち約4%を占め、無機質とも呼ばれる。
ビタミン同様、微量ながらも、からだの健康を維持する働きを担い、生きていく上でなくてはならない栄養素!
特徴 | ヒトに不可欠な必須ミネラルは現在16種類が知られている。 微量ながらも健康維持には欠かすことのできない存在。 |
働き | ・骨、歯などを作る材料になる。 ・細胞の生命活動を支え、体内環境を一定に保つ。 ・酵素の材料になる。 ・神経や筋肉の興奮を調整する。 |
種類 | 1.多量元素(体内で占める割合が多い) カルシウム 、リン、カリウム、イオウ、塩素、ナトリウム、マグネシウム ナトリウムは摂りすぎると高血圧症になる。 カルシウムは不足すると骨粗鬆症を引き起こす。 2.微量元素(体内で占める割合が少ない) 鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、モリブデン、クロム、コバルト 鉄・亜鉛は摂りすぎると中毒症状を引き起こす。 鉄は不足すると貧血症状に、ヨウ素は不足すると甲状腺腫などを引き起こす。 |
2.女性を支える4つの栄養素プロフィール
2.1 鉄
元素記号 | Fe |
働き | ・酸素を全身に運び、細胞へ酸素を取り込み、貧血を予防する。 ・肌荒れ、抜け毛、パサつきなど髪質の衰えを防止する。 |
摂りすぎた場合 | 普通の食事では起きないが、サプリメントで持続的に過剰に摂取することにより鉄過剰症を引き起こす。 |
不足した場合 | 鉄欠乏性貧血を引き起こし、疲れやすい、頭痛、動悸、食欲不振などの症状が現れる。 |
食事摂取基準 | 成人女性(月経なし)6.5mg/日 (月経あり)10.5-11.0mg/日 上限40-50mg/日 |
多く含む食品 | <肉類>レバー、牛ヒレ肉 <魚介>アサリ、カツオ <豆類>がんもどき、納豆 <野菜>菜の花、小松菜、ほうれん草 |
2.2 葉酸
化学名 | プテロイルグルタミン酸 |
働き | ・新しい赤血球(寿命4か月)を正常に作り出す「造血のビタミン」 ・DNA/RNAを合成するメインサポーター ・胎児の正常な発達を促す |
摂りすぎた場合 | 普通の食事では起きないが、サプリメントで持続的に過剰に摂取することにより、発熱、蕁麻疹、亜鉛吸収阻害を引き起こす。 |
不足した場合 | 普通の食事では起きないが、下痢などで欠乏する場合がある。 巨赤芽球性貧血や動脈硬化を引き起こす場合もある。 |
食事摂取基準 | 240μg/日 上限900-1000μg/日 妊娠前1か月から妊娠3か月はプラス240μg 授乳中はプラス100μg |
多く含む食品 | <肉類>レバー <豆類>ひよこ豆 <野菜>菜の花、なばな、ほうれん草、枝豆、ブロッコリー、芽キャベツ、春菊 |
2.3 カルシウム
元素記号 | Ca |
働き | ・新しい骨を作り、古い骨を壊す骨代謝のキープレイヤー ・ナトリウム排泄を促し高血圧を抑制する。 ・細胞の機能を調整する。 ・血液凝固、筋肉収縮、神経興奮を抑制する。 |
摂りすぎた場合 | 高カルシウム血症、尿路結石、鉄・亜鉛吸収阻害を引き起こす。 |
不足した場合 | 骨量が減少し、骨折や骨粗鬆症が引き起こされる。 高血圧や動脈硬化の原因となる。 |
食事摂取基準 | 成人女性650mg/日 上限2500mg/日 |
多く含む食品 | <乳製品>牛乳、ヨーグルト、チーズ <魚介>干しエビ、ワカサギ、煮干し <野菜>水菜、菜の花、モロヘイヤ <豆類>生揚げ、木綿豆腐 |
2.4 ビタミンD
化学名 | カルシフェロール |
働き | ・カルシウムの吸収を助け、骨を健康に保つ。 ・神経伝達や筋肉の収縮に重要な役割を担う。 |
摂りすぎた場合 | 普通の食事では起きないが、サプリメントで持続的に過剰に摂取することにより、高カルシウム血症や腎機能障害を引き起こす。 |
不足した場合 | 骨軟化症、骨粗鬆症を引き起こす。 |
食事摂取基準 | 8.5μg/日 上限100μg/日 |
多く含む食品 | <魚介>アンコウ肝、紅鮭、カラフトマス、イサキ、サンマ、シマアジ <きのこ類>キクラゲ |
3.女性に多い病気を予防しよう!
3.1 鉄欠乏性貧血
どんな病気? | 主に、鉄不足が原因で起こる病気。 月経時の出血や鉄の需要が高まる妊娠期、更に食習慣によって、20~40代の女性の約40%以上で鉄欠乏性貧血があると言われています。 チェックアップ判定基準はヘモグロビン値(血色素量)が12g/dL未満は要注意! |
症状 | だるい、寒気、動悸、息切れ、耳鳴り、めまい、食欲不振、疲れやすい、吐き気、顔色が悪い、など |
要因 | ・ダイエットや栄養バランスの偏りによる鉄不足 ・子宮筋腫など婦人科系疾患が潜んでいる可能性 |
対策 | 1)食事で鉄を効率よく摂る! 【初級編】分食 1食でまとめて多量に鉄を補給するのではなく、3食に分けて摂る! 1回の食事から吸収される量には上限があり、余分に摂っても 排泄されるため。 【中級編】食材選び 鉄分が同程度に多く含まれる食材でも、植物性よりも動物性食品 のほうが、からだへの吸収力が高い! 植物性食品はビタミンCと一緒に摂ることで吸収力アップ! ≪鉄が多く含まれる食材≫ 動物性:赤身肉、レバー、魚介など 植物性:大豆、大豆製品、穀物、野菜など 【上級編】組み合わせ 鉄はもともと吸収力の弱い栄養素なので、食べ合わせでUPさせるというテクニックも必要。 鉄吸収アップには、動物性たんぱく質+野菜(VC+Fe)が最強! 2)定期的に婦人科検診も受診する。 |
3.2 骨粗鬆症
どんな病気? | 骨強度が低下し、骨がスカスカになった結果、骨折しやすくなる病気。 骨量は20~30代がピークで、閉経後は急激に減るため、年齢を重ねると共にかかりやすくなる。女性に多い。 |
症状 | ちょっとしたことで骨折しやすくなる。 |
要因 | ・カルシウム不足 ・閉経後、カルシウムの吸収を助ける女性ホルモンが減少するため ・運動不足 |
対策 | ・骨を丈夫にする栄養素カルシウム、ビタミンD、ビタミンK(納豆、葉野菜に多く含まれる)をたっぷり摂る。 ・骨を弱くする成分リン(加工食品に多く含まれる)、アルコール、カフェインを減らす。 ・タバコを吸わない。 ・週3回、1回30分以上の運動をする。 |
4. まとめ
バランス良く食べるのは大前提ですが、私たちのからだが必要とする栄養分をライフサイクルに沿って上手く取り入れることが、人生100年時代をウェルビーイングに生きるためのポイントとなります。