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美食家も絶賛!食べて美しくなるシンプルで風味豊かな食文化・和食

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美食家も絶賛!食べて美しくなるシンプルで風味豊かな食文化・和食

2013年にユネスコ無形文化遺産として登録された伝統的な和食

自然豊かな大地で育まれた四季折々の旬の食材を用いた食文化が評価されています。

では、一体、伝統的な和食とは具体的に何を指し、バランスの良いメニュー構成のモデルとされる一汁三菜スタイルは、いつ、どのように確立されたのでしょうか?

時代と共に変化する食文化。

母国の食文化に対し、厳しいながらも温かい眼差しを注ぐ、日本を代表する美食家・北大路魯山人の言にも触れながら、家庭の食卓を基盤とする毎日の食習慣と食文化が健康に与える影響について見ていきましょう。

目次


1. 伝統的な和食とは?
1.1 和食の源は京料理
1.2 京料理の源泉は?
2. 禅宗の広がりと食文化
2.1 日本の3大禅宗
2.2 大乗仏教と精進料理
2.3 茶道と懐石料理
3. 喫茶文化
3.1 日本茶の歴史
3.2 日本茶の効用
4. 時代の変遷と食文化
4.1 時代と共に歩む食文化
4.2 生活習慣病すなわち現代病
4.3 今の時代に必要な食は?
5. まとめ

 

1. 伝統的な和食とは?
北は北海道から南は沖縄まで47都道府県。全国各地の特色豊かな郷土料理は、旅先や帰省時、お取り寄せなどで私たちの眼と舌を楽しませ、会話にも花を咲かせてくれる郷愁の味わい。

では、「伝統的な和食」と定義された時、皆さんは何とお答えになりますか?
 
1.1 和食の源は京料理
平安京を中心に京都が都としての機能を持ち始めた平安時代。1868年の明治維新で首都機能が東京へ遷都されるまでの約1,100年にも亘り、京都は都として君臨し、その影響力を日本各地へ与え続けてました。

食文化もその1つ。

「京風」と総称される料理の特徴と言えば、かつお節と昆布、清酒、薄口醬油または塩で味を調えるコクと旨味のお出汁をベースに、四季折々の旬の食材の風味と彩りを引き出し活かす調理法。

京都のお出汁には、色味と風味が良い利尻昆布が主に使われるなど、実に細やかな心配りと感性が具現化されています。

風味と共に、形状と種類も豊かな「京野菜」をふんだんに用いた野菜中心のお料理でもあります。

1つ1つの食材を知り尽くし、その良さを引き出す手法。食卓を囲む人々の喜びに想像を馳せる思いやり。

生活に根付いた繊細な美的感覚で食を楽しむ愛情溢れる京料理は、正に、和食の源泉であると言えるのではないでしょうか。
 
1.2 京料理の源泉は?
平安時代以降、明治時代の文明開化まで、政治と文化の牽引役を担っていたのは、公家・武家・寺院。

京料理は、公家(貴族)が食した大饗料理、武家が食した本膳料理、寺院で食された精進料理、そして、武家および寺院と関連の深い懐石料理から大きな影響を受けていると言われています。

平安時代の食文化に代表される大饗料理は、公家の宴会で用いられた中国文化が色濃く残る、米・鶏肉・魚・野菜が取り揃えられた豪華な大皿料理。

他方、民衆に食されていた食事では、既に一汁三菜スタイルが垣間見られる史実も当時の画中に残存。

現在の京料理の原型は、日本独自の文化形成黎明期にあたる平安時代後期から鎌倉時代以降に発展した本膳料理や懐石料理から派生した会席料理であるとも言われています。

 
2. 禅宗の広がりと食文化
京都の風情ある街並みや日本庭園、そして、独特な食文化が育まれた背景には、鎌倉新仏教以降に栄えた禅宗の影響が色濃く反映されています。
 
2.1 日本の3大禅宗
日本の禅宗は、主に、比叡山天台宗の教理を基礎とし数年に亘る入宋修行を経た禅僧により布教。

慧眼の禅師である栄西が開祖の臨済宗、栄西の教えに感銘を受けた道元禅師が開祖の曹洞宗、中国の精進料理である普茶料理とインゲン豆も齎した中国人僧・隠元禅師が開祖の黄檗宗。これら3つの宗派を日本3大禅宗と呼びます。
 
2.2 大乗仏教と精進料理
殺生を禁じる仏教の教理を背景に、菜食が用いられていた精進料理。民衆からは「質素で粗末な料理」と疎まれる傾向に。

そこで編み出された、がんもどき等に見られる「もどき料理」。「肉らしさ」を醸し出している本質を禅的に思考し創意工夫を重ね完成。好奇心旺盛な都人に受け入れられるきっかけとなりました。

現代のキャラ弁にも相通じる手法かもしれません…。
 
2.3 茶道と懐石料理
高級料理の代名詞のようにも捉えられる懐石料理ですが、刺激性のある濃茶を頂く茶会の前に、空腹を避けることを目的に提供された食事が始まり。

安土桃山時代に茶道の大家である千利休により懐石料理の一汁三菜スタイルは確立されました。

 
3. 喫茶文化
食前・食中・食後と食事と共に頂くお茶。お公家様を中心に飲用されていた喫茶習慣を民衆まで広めたその源泉も禅宗を基盤とした武家文化により齎されました。
 
3.1 日本茶の歴史
インドのアッサム地方や中国の雲南省が原産地と言われる茶。

日本では、平安時代、嵯峨天皇にも飲用されていたとの史実があり、既に奈良時代末期には伝来されていたと言われています。鎌倉時代、栄西禅師執筆による「喫茶養生記」で茶の効用や製造方法が明らかに。

通説では、栄西禅師から茶種を譲り受けた明恵上人が京都の栂尾で栽培し栂尾茶という銘茶に。栂尾茶は静岡茶へも発展。

現在、京都および日本を代表するブランド茶である宇治茶は南北朝時代後期に出現し、文化が花開いた室町時代後期の東山文化では宇治茶が栂尾茶を抜いて首位を奪取。
 
3.2 日本茶の効用
日本茶の主な含有有効成分は、ビタミンCによる抗酸化作用、メチルキサンチン類であるカフェインによる覚醒作用、テオフィリンによる抗炎症作用・利尿作用、アミノ酸であるテアニンによるリラックス効果・アルコール代謝活性、GABA(γ-アミノ酪酸)による興奮抑制・抗ストレス作用が知られています。テアニン・GABA共に降圧作用も有しています。

 
4. 時代の変遷と食文化
大饗料理から懐石料までの変遷に垣間見られる通り、時代の推移と共に、食文化は国内外の影響を受けながら少しずつ変化を遂げてきました。京都から首都機能が遷移されつつあった江戸時代以降の食文化も見てみましょう。
 
4.1 時代と共に歩む食文化
京料理の原型は、和文化の隆盛期であった室町時代頃に概ね確立。

その後、江戸幕府が置かれた現在の東京である江戸は、史上最大人口を齎した巨大都市を形成。

市街地では、有職単身男性の増加に伴い、丼物や蕎麦など手軽に摂れるジャパニーズファーストフードが隆盛し、塩分に加え、味をきりっと際立たせる糖分が多めの食品が好まれる傾向に。

鎖国政策を展開し国外との接触が減少する一方で国内の郷土料理が発展。

明治維新以降の文明開化では、積極的に西側諸国を中心とした諸外国の料理を取り入れ、和風にアレンジ。肉類摂取が禁忌または少なかった時代のビタミンB1やB12を中心とした不足栄養分を補強する一方で、戦後の昭和時代以降、体重も増加傾向へ。
 
4.2 生活習慣病すなわち現代病
英語ではLifestyle related disease、すなわち、生活習慣に基づく疾患と総称される生活習慣病を代表する疾患は、主に、肥満を背景とした高血圧・糖尿病・脂質代謝異常症。

これらの疾患を背景とする肝機能障害・脳梗塞(脳卒中)・心筋梗塞・狭心症・CKD(慢性腎臓病)など。

食塩摂取過多の食習慣に起因し高血圧を背景とした脳出血(脳卒中)発症が多い日本。脂肪分摂取過多の食生活に起因する心筋梗塞を始めとした冠動脈疾患および脳梗塞発症が多い欧米諸国。このように、かつては、発症疾患に特徴的な差異が見受けられました。

現在は、減塩対策の効果もあり、脳出血発症は減少傾向にあるものの、糖分・脂肪分摂取過多を背景に生活習慣病は蔓延し、日本だけはなく、世界的な潮流へ。
 
4.3 今の時代に必要な食は?
和食の難点は食塩量が多いこと。冷蔵設備の無かった時代には、先人の知恵により塩蔵が多用されてきたことがその一因。

冷蔵施設も万全の今、塩蔵の需要は高くありません。

一方で、伝統的な和食の秀逸さは、良質な食材を見極め、その色合いや風味などの良さを引き出し活かす調理法。そして、そこに美味しさを見出す繊細な美的感覚と味覚。先人たちにより磨かれ、築き上げられた誇るべき食文化です。

東洋のブリア=サヴァランとも称される陶芸・篆刻家であり美食家である北大路魯山人は、「砂糖の乱用が食材本来の味を破壊し本質を滅茶苦茶にしている。砂糖さえ入れればうまいとする現代の料理は極端に味覚の低下を招いている」と嘆き、江戸で生まれた砂糖を多用する食文化に対し批判的であったと言われています。

実際、氏が振る舞うすき焼きには、砂糖を一切使わず、昆布と鰹節で取った出汁、酒と醤油、味醂はほんの少量のみ用いて、野菜や牛肉など食材のうま味を存分に引き出す調理法を用いていたようです。

脂肪分と糖分はカラダにとって必要な栄養である一方で脳に刺激を与え依存性を齎します。塩分は順化しやすく慣れを生じさせます。

だからこそ、幼少期からの食習慣が大切。

日本は、世界各国の料理も楽しむことができる豊かな食文化を持っています。それは、良質な食材を見極める力を蓄えたからこそ味わえるもの。

海外の方からの、和食はヘルシーであり、日本では「肥満」は少ないのではないかとの問いも今は昔。

野菜を中心とした伝統的な和食である京料理をお手本にすることで自然と摂取カロリーも抑えられ、腸内細菌叢も美しいバランスが保たれやすくなります。今こそ原点に立ち返る時を迎えているのかもしれません。

 
5. まとめ
京都、そして、全国に点在する「小京都」の町並みは、日本人としてのアイデンティティをふと思い起こさせてくれる空間。

祇園祭の頃、初夏から盛夏に向かい旬を迎える鱧。盆地特有の蒸し暑い市中を練り歩く鉾。鴨川のせせらぎに浮かぶ川床。これらのコントラストのある情景と共に、鱧の梅肉ソース和え、その風味を引き立たせる冷酒。

お祭りの情景と旬の食材を活かしたお料理が一体となり楽しむことができる稀有で繊細な文化。

四季折々、雅で緩やかな時が流れる京都で過ごすことも感性と味覚を磨くポイントの1つ。悩ましい献立に一品追加できるヒントも得られるかもしれません。

和食の他にも、世界から称賛される日本文化があります。それは、国際試合後、勝敗に関わらず見られるいつもと変わらぬ光景。選手控室の整理整頓とサポーターによる観客席のゴミ拾いに代表される温厚で品行方正なマナー。

これらも禅や武家社会を始めとした多様な文化と自然の中で育まれた感性が私たちの生活にも自然と根付いているからと言えるのではないでしょうか。

滋味芳醇な食材は自然からの優しい恵み。

同時に、豊かな森林と山岳地帯、そして、海洋に囲まれた地震多発国の日本において、存在していた物質が一瞬にして消えてしまう「儚さ」も大自然の厳しさから学んでいます。

「いただきます」「ごちそうさまでした」

食材・生産者の方々・調理して下さった方々など1食に関わる全ての物・ひとに感謝する心豊かな表現も食文化の1つ。

美食家の北大路魯山人は、最も優れた料理として、名料理人によって作られたものではなく、知人らの奥様方が作られた家庭料理を名料理として挙げ、こよなく愛していたとか。

なぜなら、それは、テクニックだけに依るのではなく、「おいしく食べて健やかに育って欲しい」「仕事の疲れを癒して明日からも頑張ってもらいたい」といった作り手の心が込められていることの素晴らしさに料理の本質を見出したからだと言います。

「美しい」は何も女性だけを形容する言葉ではありません。

日頃の疲れを癒しながら、ご家族とご一緒に京都の町並みと食を楽しむ。日々の食卓に京風お惣菜を取り入れてみるのも、雅な文化を日常的な空間で味わう寛ぎを齎してくれるかもしれません。

【参考文献】
「京料理の文化史」思文閣出版
 上田純一 編
「日本料理の真髄」講談社+α新書
 阿部狐柳 著
「魯山人の美食 食の天才の献立」平凡新書
 山田和 著

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医療・保健の国家資格を有し、医学系学会で学びを深め、グローバルでクリエイティブな環境、読書とアート、世界の建築と庭園、お料理とグローカル食材をこよなく愛する運営者wanobiが、これまでに培った知識と経験、学びのアップデートを基に、女性・こども・家族のココロとカラダにとって大切な情報をお伝えします。日・仏・英3か国語で運営

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