「エクササイズ(運動)はカラダに良い」こと頭では分かっている。「ココロにも良い」感じもする。
“何となくカラダにもココロにも良さそう”なエクササイズ。ウェイトコントロールや、子育てから手が離れたなど時間的制限からの解放をきっかけに、ジム通いを始めてみても、突発的な用事などで遮られることに。
計画的に進まないと、モチベーションも低下する一方。
エクササイズは毎日実施するべきなのでしょうか?ちょっとした身体活動(フィジカルアクティビティ)でもカラダに良い影響を与えるのでしょうか?
研究結果に基づき客観的指標を用いてまとめられたガイドランなどでは、エクササイズやフィジカルアクティビティはどのように評価され、ベネフィットとして何が謳われているのでしょうか。
米国政府が2018年に発行した「フィジカルアクティビティガイドライン第2版(Physical Activity Guidelines for Americans 2nd edition)」をベースに、身体活動・運動と体力の相関関係についても見ていきましょう。
目次
1. 身体活動・運動・体力
1.1 身体活動と運動の違いは?
1.2 体力とは?
1.3 身体活動・運動・体力の関係は?
2.アクティブ、それとも、インアクティブ?
3. ライフステージと身体活動による効果
3.1 身体活動による全身への効果
3.2 身体活動とブレインヘルス
3.2.1 認知機能
3.2.2 生活の質(QOL)
3.2.3 メンタル不調と抑うつ傾向
3.2.4 不安症
3.2.5 睡眠
4. まとめ
1. 身体活動・運動・体力
1.1 身体活動と運動の違いは?
[身体活動]
カラダを形成する骨格筋の収縮により生じる身体の動きを指し、動きの大きさに応じて、エネルギー消費を増加させるもの。
[運動]
身体活動の一種であり、計画的に構成された反復性の身体の動きを指す。体力の維持・向上を目的に実施されるもの。
エネルギー消費を伴う身体の動きである身体活動をヘルスプロモーションや減量・筋力強化などの目的を持って定期的に実施するのが運動(エクササイズ)。
1.2 体力とは?
各人に元来備わっている、あるいは、学習により後天的に身に着けた身体活動を行う能力を指し、健康関連体力と運動技能関連体力に分類される。
[健康関連体力5つの構成要素]
1) 心血管持久力
2) 身体組成
3) 筋力
4) 筋持久力
5) 柔軟性
[運動技能関連体力6つの構成要素]
1) 敏捷性
2) 調整力
3) バランス
4) パワー
5) 反応時間
6) スピード
1.3 身体活動・運動・体力の関係は?
デスクワークや長距離運転などで長時間にわたり座位や仰臥位(寝たきり状態)で同姿勢を続けた場合、体力は低下し、健康リスクが上昇します。
まずは、身体活動なしの「ゼロ」の状態を回避し、動作や移動を伴う身体活動はマストで実施し、さらには、運動として定期的に取り組むことが大切です。
2. アクティブ、それとも、インアクティブ?
十分な身体活動を行えているか、それとも、改善の余地があるのか、4つの身体活動レベルの指標をもとに採点してみましょう。
[身体活動レベル1:Inactive]
友達と話しながらゆっくりウォーキング、料理を含む家事全般など生活行動に伴う活動だけの場合、インアクティブ。
[身体活動レベル2:Insufficiently active]
早歩きや、テニス、ジョギングなどの運動、ガーデニングなど中等度以上の身体活動や運動をしているが、週150分未満の場合、活動レベルは不十分。
[身体活動レベル3:Active]
中等度以上の身体活動や運動を週150分(2時間半)から300分(5時間)程度実施している場合、アクティブ。
[身体活動レベル4:Highly active]
中等度以上の身体活動を週300分以上実施している場合、ハイアクティブ!
忙しい毎日の中で、5時間まとまった身体活動を行うのは難しいですが、1週間のスケジュールを確認し、時間と活動を分散させれば実施できそうですね。
3. ライフステージと身体活動による効果
3.1 身体活動による全身への効果
[幼児期から思春期まで]
・健康的な骨形成
・適正な体重の維持
・心肺機能と筋力の増強
・代謝機能の向上
・認知機能の向上
・メンタル不調の回避
[成人期から高齢期]
・死亡リスクの低減
・ライフスタイルに基づく生活習慣病罹患リスクの低減
・ライフスタイルに基づくがん罹患リスクの低減
・体質改善
・認知機能の改善
・認知症予防
・生活の質(QOL)改善
・不安とうつ病の改善と回避
・リバウンド防止を含むウェイトコントロール
・睡眠の改善
・健康的な骨形成
・身体機能の改善
・転倒防止
3.2 身体活動とブレインヘルス
身体活動が大きな効果をもたらす身体領域の1つとして「脳」が挙げられます。ブレインヘルスを向上させる効果が証明されている5分野についてライフステージ別に見てみましょう。
3.2.1 認知機能
【6歳から13歳】
・記憶力や理解処理速度など学力向上
【成人期全体】
・認知症罹患リスク回避
【50歳以上】
・注意力や記憶力、理解処理速度の改善
3.2.2 生活の質(QOL)
【成人期以降】
・良好な生活の質を実感
3.2.3 メンタル不調と抑うつ傾向
【6歳から17歳および成人期以降】
・メンタル不調と抑うつ傾向の回避と改善
3.2.4 不安症
【成人期以降】
・短期および長期の不安症の低減
3.2.5 睡眠
【成人期以降】
・睡眠の改善(睡眠の質、昼夜逆転、昼間の傾眠、睡眠薬の服用)
身体活動がココロに与える好影響が顕著に見られます。症状が悪化する前に、第一に、フィジカルアクティビティの見直しが大切です。
4. まとめ
身体不活動は、糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病のリスクを高めるだけではなく、がんやメンタル不調の要因にもなります。
全く動かない「不活動」の状態を回避し、身体活動レベルを向上させ、計画的に実施する運動の機会を増やし、ルーティンにする。
運動(エクササイズ)習慣は、ココロとカラダの双方にとっても、おとなにとっても、こどもにとっても、良好な結果をもたらす、ヘルスベネフィットもエコノミーベネフィットも高い、今すぐ始められるライフスタイルです。
[参考図書]
「アメリカスポーツ医学会(ACSM)編 運動処方の指針 運動負荷試験と運動プログラム 原著第8版」
監訳 日本体力医学会体力科学編集委員会 南江堂
[参考URL]
U.S. Department of Health and Human Services https://health.gov/
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