Hypertension 高血圧と聞くと、
「どちらかというと血圧低くて困っています。朝と朝礼が苦手」
「年齢を重ねると自然に高血圧になる」
「やせ型だから、高血圧とは無縁」
「男性で重労働のひとに多いイメージ」
“わたしには関係のない症状”と思っていませんか?
実は、女性に多く発生する病気が潜んでいる、あるいは、メンタル不調の予兆など、静かに高血圧が進行しているケースがあります。
今まで特に血圧が高かった訳でもなく、「自分とは無関係」と過ごしている毎日の中で、静かな変調をもたらす高血圧。
通常は無症状のため、測ってみないとわからないのが現実です。
血圧が高いと起こる不都合な真実も含め、Women’s HealthとHypertensionの関係について見ていきましょう。
目次
2. ライフスタイルチェンジ&チェックアップ !
3. Women’s HealthとHypertension
3.1 女性のライフステージとHypertension
3.1.1 妊娠高血圧症候群
3.1.2 メノポーズ期(更年期)
3.2 女性の割合が多い病気とHypertension
3.2.1 甲状腺機能障害
3.2.2 内分泌(ホルモン)疾患
3.2.3 脳卒中(若年女性)
4. まとめ
1. どこからがHypertension高血圧?
高血圧と推定されるひとは、約4,300万人にも上ると言われています。
高血圧の症状を呈する背景は様々。良く知られているのが、生活習慣病の1つとして出現する高血圧。
そのリスクファクターとなる、飲酒、喫煙、肥満、食塩摂取過多を背景に、発症割合の男女比は男性が約6割、女性は約4割と男性に多く、性差を問わず、年齢を重ねると共に、その割合も増えてきます。
ところで、この高血圧。一体どこからが高血圧(Ⅰ度)と呼ばれる値なのでしょうか?
降圧剤の服薬だけではなく、ライフスタイルチェンジも含め、治療の対象となるのは以下の値から。
収縮期血圧(上)140 mmHg かつ/または 拡張期血圧(下)90 mmHg 以上
実はこちらの数値、診察室で測った場合の高血圧。市販の血圧計を用いて、ご家庭などリラックスした環境下で測定した場合は、以下の値から高血圧と呼びます。
収縮期血圧(上)135 mmHg かつ/または 拡張期血圧(下)85 mmHg 以上
更に、血圧の値は、日内変動があり、朝から昼間にかけ上昇し、夜間に向かって下降するという特性もあります。夜間に測定した場合、以下の値以上を高血圧と呼びます。
収縮期血圧(上)120 mmHg かつ/または 拡張期血圧(下)70 mmHg 以上
2. ライフスタイルチェンジ&チェックアップ !
医療・健康のオーソリティー厚生労働省が発表した、血圧を良好に維持し、脳・心疾患など命にかかわる重大な病気を予防するための行動指標(健康日本21第2次)と降圧目安は以下の通りです。
⇒収縮期血圧(上)2.3mmHg低下
2. 定期的なエクササイズ
⇒収縮期血圧(上)1.5mmHg低下
3. 減酒
⇒収縮期血圧(上)0.12mmHg低下
そして、降圧剤服薬中の方は、服薬を継続すること。
実に、ライフスタイルに気を配るだけでも、約4mmHg血圧が降下します。一方で、薬剤の種類や掛合わせにもよりますが、お薬だけで持続的な血圧降下は期待できません。
血圧を良好に維持するために大切なライフスタイルチェンジ項目は以下の6つ。
2. 野菜・果物を積極的に食べる
3. 適正なウェイトコントロール
4. 定期的な有酸素運動
5. 節酒
6. 禁煙
現在、血圧は正常で予防的にライフスタイルを調整したいひとも、治療中だけど、なかなか血圧が下がらない、更に大きな病気に発展することを予防したいひとにも、万人に有効な6つのポイント。
そして、ストレス環境下でも血圧は上昇しますので、良質な睡眠や余暇を楽しみながらストレス解消する術を持ち合わせることも有効なポイントの1つ。
また、早朝の血圧が急激に高くなる場合をモーニングサージと呼びます。この状態は、脳卒中発症のリスクファクターとなります。
こちらのリスクファクターの背景に、就寝前など夜間の飲酒習慣があり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)も招きやすくなり、生命さえ脅かす危険性が伴います。
「わたしは大丈夫」でもパートナーのライフスタイルもチェックが必要です。
だからこそ、忙しい毎日の中でも、できれば、朝と夜に血圧を測る習慣を持つことがベスト。
「高血圧」と呼ばれる値を確認したら、その日から少なくとも1~2週間は継続して血圧測定を行いましょう。
3. Women’s HealthとHypertension
ライフスタイルではなく、女性のライフステージに基づくHypertension、そして、女性の割合が多い病気とHypertensionの関係について見ていきましょう。
3.1 女性のライフステージとHypertension
高血圧が大きく問い質される2大ライフステージ・イベントは妊娠期とメノポーズ期。
3.1.1 妊娠高血圧症候群
妊娠前に、高血圧を指摘された経験が無く、妊娠20週以降に始めて収縮期血圧(上)140mmHgまたは拡張期血圧(下)が90mmHgとなり、出産後12週までには正常血圧に戻る症状。定期的にかかりつけ医で健診を行うと共に、産科医の管理のもとで出産に臨むことが安心に繋がります。
3.1.2 メノポーズ期(更年期)
女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの働きによる血管の拡張機能などに護られてきた私たちのカラダは、メノポーズ期を迎えることで、これらのホルモン分泌量が減少し、高血圧を始めとしたカラダの変調をきたしやすくなります。
3.2. 女性の割合が多い病気とHypertension
3.2.1 甲状腺機能障害
女性に多い甲状腺の病気。有名どころでは、甲状腺の機能が低下する橋本病、甲状腺の機能が亢進するバセドウ病などが挙げられます。いずれも、血圧や脈拍数に変調が見られる場合があり、特に、機能亢進型では、高血圧が認められます。
3.2.2 内分泌(ホルモン)疾患
クッシング症候群などホルモン分泌量に依存する病気。頑張ってライフスタイル調整をしてもウェイトコントロールが上手くいかない、血圧が常に高い場合、その背景にこれらの病気が潜んでいる場合もあります。
3.2.3 脳卒中(若年女性)
脳卒中の中でもクモ膜下出血は、高血圧を来す若年女性で度々見られます。発症した場合、命に直結するため、健康診断などで高血圧を指摘されたら、「若い」「症状がない」を理由にせず、病院を受診しましょう。
4. まとめ
日内や季節変動、測定直後の行動によっても血圧の値は変化します。
一方で、持続的に高い状態が続いているのであれば、症状は無くとも、病気が潜んでいる可能性も否定できません。
1家に1台血圧計
数値にばかりこだわる必要はありませんが、適度なチェックアップは大切です。
【参考文献】
「高血圧治療ガイドライン2019」日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編集
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