キャリアオイルを始めとし、“オーガニック”と称されるコスメ製品をよく見かけるようになりました。
“オーガニック”のラベルは、一律に“天然由来の安全で良質な商品”の証と考えて良いのでしょうか?
ラベルの内容によっては、残念ながら、必ずしも良質で品質を担保されたものばかりではないのが現実です。
オーガニック人気の証。
でも、「毎日使うものだからこそ本当に良いもの」を選びたい。
そのように考えるあなたのために、最終回は、良質なキャリアオイルやオーガニックコスメを選ぶためのポイントを見ていきたいと思います。
目次
2. オーガニックコスメと品質保証
2.1 ECOCERT
2.2 COSME BIO
2.3 COSMOS基準
3. オーガニック大国フランスと日本の動向
4. まとめ
1. クオリティーの見極め方
確かな品質のオイルを選択するための主なチェックポイントは以下の5項目です。
2. 抽出方法
3. 原産国(製造地併記が望ましい)
4. 製造・保管方法
5. 第三者機関による認証
加熱により、成分に変性を来さないよう、多くの良質なキャリアオイルは低温圧搾法で抽出されています。
2. オーガニックコスメと品質保証
全世界に広がるオーガニック認証機関の存在。今回は、その中から、コスメ商品を中心としたオーガニック大国として名高いフランスの著名なオーガニック認証機関・品質保証について概要を見ていきたいと思います。
2.1 ECOCERT
世界各地に点在するオーガニック製品の品質保証を担う国際有機認定機関として、1991年にフランス南西部トゥールーズで創設されました。日本法人エコサート・ジャパン株式会社は2000年に開設。
化粧品の他にも、食品、テキスタイル、ホームケア用品など認証項目は多岐にわたります。
ECOCERTは、オーガニックコスメ認証の世界シェア75%を誇り、現在、54か国の1,500以上にも及ぶ企業のオーガニックコスメ製品を厳格な品質・管理基準を設け審査を行っています。
2.2 COSME BIO
コスメ製品に含まれる化学合成物質および製造企業による隠ぺい体質に風穴をあけ、消費者を保護し、適切な情報を提供することを目的に2002年にフランスで創設。
COSME BIOがオーガニックコスメとして認証を与える基準は、配合成分の95%以上が天然由来の成分であること。
認証ラベルは「Cosmétique Bioコスメティック・ビオ」と「Cosmétique naturelコスメティックナチュラル」に分類されます。
2つの大きな違いは、Cosmétique Bioは有機栽培された植物を用いるのに対し、Cosmétique naturelは有機栽培された植物とは限らないこと。
上述の通り、Cosmétique naturelコスメティックナチュラルは配合成分の95%は天然由来の原料であることが原則です。
一方、Cosmétique Bioコスメティック・ビオとして認証が付与される要件は、その95%以上の天然由来の原料かつ植物は有機栽培下で生育されたもの。そして、全成分中に占める有機栽培された植物原料の割合は20%以上。より厳格で狭き門を通過した希少プロダクトです。
双方、天然由来成分以外の配合成分は5%以下かつ安全性が確立されている成分のみ使用が許可。
有機栽培された植物の種子などから抽出されたキャリアオイルや精油は、コスメティック・ビオに該当し、単一原料であるため「100%」の表記が可能です。
2.3 COSMOS基準
COSMOS基準は、世界各国に広がるオーガニックコスメと称する商品のクオリティーを高水準に守るため、欧州4か国ドイツ・イタリア・フランス・イギリスの認証機関が共同で設けた厳格なオーガニックコスメの評価基準です。
上述したECOCERTとCOSMEBIOは認証機関に含まれ、審査、評価基準を策定しています。
COSMEBIOの節でお示しした通り、数値化された評価基準を基に、その原料配合量に対し、最も厳格な審査を経て最高峰に君臨する「オーガニック認証」とプレミアムクオリティの「ナチュラル認証」に分類し認定。
COSMOS基準では、原材料および配合割合といった内容物に関する審査以外にも、サスティナブルな環境を第一に考え、製造工程やパッケージは環境負荷が少ない方法や資材を用いているかというエシカルな視点からも検討されます。
3. オーガニック大国フランスと日本の動向
意見の多様性を大切にするフランスでは、各界問わず多くのアソシエーションが存在し、時に、意見の対立も生じます。対話と議論の国ゆえのこと。
消費者にとって、良質な商品を選ぶための指標を数値化し提示してもらうことでクオリティーが可視化しやすくなる反面、指標の科学的根拠には考慮の余地があるという指摘も浮上しています。
フランス経済産業省管轄の競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)によるCOSMOS基準の消費行動に対する有効性についての見解は、保留中。
また、認証ラベル制は、価格の高騰化や不正ラベル使用という新たな悩みの種となることも。
オーガニック大国であり、先進国であるフランスならではの「BIO」「Natural」表記に関する熟考期あるいは過渡期とも言えるかもしれません。
日本では、日本版ECOCERTとして有機JAS(Japanese Agricultural Standards:日本農林規格)マークが挙げられます。名称が示す通り、有機栽培された原料から生まれた食品の認証に用いられています。
コスメアイテムに対するオーガニックマーク制度に関しては世界に遅れをとっているかのように思われる日本ですが、世界的な権威であるECOCERT認証を有効に活用することが可能です。
日本人の丁寧な仕事と四季折々の自然・土地で育まれる優良な国産原料。
世界的な評価を得ることで国内はもとより、日本の良品が世界に進出し、普及されることが期待されます。
4. まとめ
専門家集団が比較検討を行いながら一定の基準を設ける認証機関の存在。
きめ細やかな栽培方法、専門家による評価を経て商品化されるオーガニック商品。結果として、価格の高騰化はある一定程度認められますが、商品を選択する時間を短縮してくれると共に、購入という行為を通して、良質なものを選択する視座も自然に与えてくれます。
最終的な決断は個々人に委ねられますが、ECOCERTやCOSMEBIOマークのチェックは、「オーガニックコスメ」良品を選ぶための指標の1つとして役立つことは間違いありません。
【注意】
天然由来のものがあなたにとって常に安全・安心なものとは限りません。
ご利用に際しましては、使用前に、腕の内側部など柔らかいお肌の部分で少量ためしてからお顔や広範囲の部位に使用することをおすすめします。
また、使用後に、お肌のかゆみ、発赤、違和感がある場合は、ご利用を控え、皮膚科専門医にご相談ください。
【参照URL】
・エコサート・ジャパン https://www.ecocert.com/ja-JP/home
・ECOCERT https://www.ecocert.com/fr-FR/home
・COSMEBIO https://www.cosmebio.org/fr/
・Ministère de l’ Économie, des Finances et de la Souveraineté industrielle et numérique
https://www.economie.gouv.fr/dgccrf/cosmetiques-bio-et-naturel