11月の第3木曜日と言えば、ボジョレーヌーボー解禁日。
ボジョレーは、南西部に位置するボルドー地方と共に、フランス産ワインの2大銘産地として名高い、フランス東部ブルゴーニュ地方に広大な土地を有する生産地。
時差の関係で、本国フランスよりも、そして、世界で最も早く、テイスティングが出来る日本では、かつて、ボジョレーヌーボー解禁日のお祝いムードをメディアなどで華々しく取り上げられていました。
本国フランスでは、解禁日を祝う光景は見られず、日本で独自に発展したイベントの1つ。
昨今では、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカ・カリフォルニア州など、ニューワールドのワインが価格帯・品質ともに台頭してきましたが、ワインと言えば、やっぱり、フランス!
フランス流にワインを頂く醍醐味は、お食事内容に合わせてブドウの品種(セパージュ:cépage)や産地(テロワール:terroir)を選び、最高の風味と香りの相乗効果をもたらすマリアージュ(mariage)を楽しむこと。記念日などでは有名シャトーのワインも頂きたい!?
とは言え、前菜からデザートに至るまで、お食事に合わせてワインを頂くと飲みすぎにならないのでしょうか?
セパージュやワインの栄養成分などのマメ知識と共に、お食事のお供として美味しく頂くための適量についてご紹介します。
ワイン好きの女性をお食事にお誘いしたいとお考えのジェントルマンな男性にもおすすめの内容です。
目次
2. ブドウの品種(セパージュ)
3. なぜ「ワインと言えばフランス」?
4. ワインはカラダに良い?悪い?
4.1 ワインはカラダに良い!
4.2 ワインはカラダに悪い!
4.3 ワインを美味しく嗜む適量は?
5. まとめ
1. ワインはどんなお酒?
イエス・キリストが最後の晩餐で「私の血はワイン」と有名な一場面にその名を遺したワイン。
紀元前5000年頃の遺跡から、ワイン醸造に使われていたと思われる石臼などが発掘され、太古より愛飲されていた記録が残るワイン。
肉料理・チーズには赤ワイン、魚料理・和食には白ワイン、赤は冷やし過ぎず14~18℃程度、白は8~13℃程度にキリっと冷やして頂く等など、お食事との兼ね合いで語られ、その歴史や品種、アロマ、有名シャトー(醸造所)に関する蘊蓄も多いワイン。
実際に、ワインはどのようなお酒なのでしょうか?また、美味しいワインを生み出すためにはどのような条件が必要なのでしょうか?
お酒(アルコール)は、その製造方法により、アルコール度数は低めの醸造酒、醸造酒を蒸留して作られたアルコール度数は高めの蒸留酒、醸造酒に果実エキスや甘味料などが加えられた混成酒の3つに分類されます。
ワインは、ブドウを原料として作られた醸造酒。アルコール度数は8~15度程度。ワイングラス1杯に約9gのアルコールが含まれています。
本来ワインは、10度程度のアルコール度数であり、年々15度程度の高度数ワインが散見されるようになり、製造工程上に問題があると指摘する専門家の声も。
美味しいワインを生み出す環境の重要な要素は、気温、日照、降水量、土壌。
ワイン用に育てられるブドウの品種は、年間平均気温が10℃から20℃程度の冷涼かつ温暖な地域の比較的乾燥した水はけのよい土壌を好むと言われています。
これらの環境条件にブドウの品種、ワイナリーの技術が加わって、美味しいワインは生み出されます。
2. ブドウの品種(セパージュ)
色の違いで赤・白・ロゼの3つに分類されるワイン。
主な原料が黒ブドウか白ブドウか?アルコールの発酵過程で果汁に果皮や種子を加えて漬け込むか否かといった製造法の違いから生み出される色合いにより分類されます。
赤ワインとロゼは主に黒ブドウを、白ワインは主に白ブドウを原料として作られます。
では、各々の代表的品種を見てみましょう!
赤ワイン用ブドウ品種 |
白ワイン用ブドウ品種 |
・カベルネソーヴィニヨン
・カベルネフラン ・ガメイ ・メルロー ・ピノノワール ・シラー/シラーズ ・グルナッシュ ・サンジョベーゼ ・ジンファンデル |
・シャルドネ
・ソービニヨンブラン ・リースリング ・シュナンブラン ・ピノグリ ・ピノブラン ・セミヨン ・ミュスカデ ・甲州 |
何となく、聞き覚えのある品種名が並んでいませんか?
ブドウの品種により、その風味に違いが生まれます。
単一品種により作られたワインにはテロワール(生産地)の当該年度の環境条件が強く反映され、カベルネソーヴィニヨンとメルローなど品種の特性を活かしながら複数品種がブレンドされたワインには作り手の経験知や技術といったアート的要素が強く反映されます。
3. なぜ「ワインと言えばフランス」?
ワインが最初にフランスに伝わったのはローマ帝国時代と言われています。
王侯貴族にも愛飲されたワインは、宮廷文化と相まって、過剰なまでにステータスを競い合うツールへと変容。
その後、広く社会に広まるようになると、産業化による不正取引等を回避するために、品質管理の厳格化が求められるようになりました。
そこで1935年に生まれた、AOC(Appellation d’Origine Contrôlée)原産地統制呼称法。
消費者に優良なワインを提供することを目的として、品質管理を徹底して作られたワインにラベリングを敢行。産地偽装も防ぐ効果があります。
美味しいワインを作る環境条件にも合致したフランスの気候に加え、これらの品質管理の規制が行われたことにより、ワイナリー間における品質競争の好循環と相まって、有名なシャトーや銘柄を多く生み出したフランス。
生産高と共に高品質ワインを作り出す生産国として、フランス産ワインがブランド的地位を確立した所以ではないでしょうか。
4. ワインはカラダに良い?悪い?
ところで、ワインはアルコールの一種。タバコとは違って、適量ならカラダに良い影響もあると言われるアルコールですが、実際はどうなのでしょうか?
4.1 ワインはカラダに良い!
過去の研究で、フランス人はバター等の動物性脂肪分(飽和脂肪酸)を多く摂るにも関わらず、動脈硬化に対する悪影響は欧米各国と比べて少ないことから、これを「フレンチパラドックス」と呼び、バターや肉料理と共に赤ワインを愛飲しているから相殺されているのだとの学説がありました。
何によって相殺され、動脈硬化は抑制されるのでしょうか?
赤ワイン用のブドウ品種と製造方法の中に相殺効果を生み出すための秘密が隠されています。
赤ブドウの果皮に含まれるポリフェノール・スチルベン類に抗酸化作用があり、動脈硬化を予防するのです!
史実としても、新約聖書に「胃のためにも、しばしばかかる病気を避けるためにも、水ばかり飲まず、少しのぶどう酒(ワイン)を用いなさい」との一説があります。新約聖書27文書中13の書簡(教訓書)を書した聖パウロが改宗へ導いた愛弟子・聖人テモテ(ティモテオス/ティモテオ)へ宛てた「テモテへの手紙」に書かれた愛情溢れる生活指針。テモテは胃腸病の守護聖人として知られています。
既に、ワインの健康効果が周知の事実であったことが垣間見られ、“ワインはカラダに良い” 説を後押し。一方で “少し” と言及がある点はお忘れなく。
4.2 ワインはカラダに悪い!
酸化防止を目的として使用される亜硫酸塩(二酸化イオウ)。
大量を摂取すればカラダに有害であり、4g以上摂取することで中毒症状が発現するため、ワインに添加する許容基準値も設けられています。
許容基準は最大350mg/kgで、ワインに使用されているのは基準以下。更に、実は、発光の過程で亜硫酸塩は別の物質に変換されており心配ご無用との醸造専門家および科学者の声も。
一方で、個体差により、胃腸などの消化器系の症状が出やすくなるため、亜硫酸無添加ワインに変更するなども一策でしょう。
4.3 ワインを美味しく嗜む適量は?
赤ワインでは、ポリフェノールの抗酸化作用があり、また、アルコールにはエストロゲン様作用もあるため、適量飲酒では、動脈硬化を抑制し、HDL(善玉)コレステロールも増やすという好適な側面があるものの、肝臓で代謝・分解されるアルコールは、毒にもなり易いことも事実。
また、女性は、男性と比べて、アルコールの血中濃度が高く、分解にも多くの時間を要するため、男性と同等の飲酒量は毒になります。
ワインはエストロゲン様作用を有することから、過剰摂取により、エストロゲンに依存する乳がんのリスク因子ともなるため注意が必要です。
主菜に合わせてグラス1杯程度まで、または、記念日などの機会飲酒として頂くなら、メインとその後に頂くチーズの種類によりセパージュを変える等、お食事と共に頂くなら適量範囲です!
5. まとめ
お食事と共に、その色合い、アロマを楽しみ、食卓に花を添えるワイン。
女性も、男性並みにお仕事をし、お付き合いも増え、また、女子会でも飲酒をする機会が増えました。
しかし、環境が変化した一方で、女性としてのカラダの特性に変わりはありません。
もちろん、男性も適量を超えた飲酒量で、喉頭・咽頭や消化器系のがん、肝臓の病気などを招いてしまいますが、女性が男性同等にお酒を頂くことで、カラダに対する悪影響はより大きくなります。
ワインもその他のアルコールも美味しく嗜む程度に頂くことがウェルビーイング力を高める最良のメソッドです。