清々しい秋空が心地よい10月。
市中で、社内で、報道で、「ピンクリボン」という言葉を耳にすることはありませんか?
世界中で、「ピンクリボンキャンペーン」が繰り広げられる10月。
「ピンクリボン」は、乳がんについて考え、行動することの大切さをみんなで再確認するためのキャンペーン。
忙しい毎日の中で、なかなか振り返る機会が少ないわたしたちのカラダについて、乳房を中心にチェックしてみませんか?
目次
2. 乳がんについて
2.1 どのような病気?
2.2 稀な病気?
2.3 リスクファクター
3. 乳がんは予防できる!
4. もし乳がんになったら?
5. まとめ
1. ピンクリボンの始まり
1985年、米国腫瘍学会が中心となり始まった乳がん啓発運動。
1993年、化粧品メーカー、エスティローダー社の副社長を務めたイヴリン・ローダー氏の主導のもと、「乳がんの知識をすべてのひとに」という強い思いから、ピンクリボンキャンペーンは始まりました。
イヴリン・ローダー氏自身、早期乳がんの診断を受け、乳がんに対して、ひとりひとりが知識を獲得することの大切さを実感したことがキャンペーン開催のきっかけとなりました。
同時に、乳がんの予防啓発、早期発見に繋がる診断、治療薬の開発、サバイバー(乳がん経験者)ネットワーキングへの資金援助を目的とした財団BCRF:Breast Cancer Research Foundationも創設。
10月は乳がん啓発キャンペーン月間として世界中がピンク色に染まります。
フランスでは、その名も「Octobre Rose」ピンク色の10月として、ピンクリボンやピンク色のバラを添えて、市中で老若男女が一丸となり、キャンペーンが繰り広げられています。
2. 乳がんについて
2.1 どのような病気?
乳がんは、乳房の大部分を占めている乳腺で発生するがん。
その90%以上は、母乳を乳頭まで運ぶ通り道の乳管で発生します。
乳がんには、リンパ管や血液の流れに乗って、肺、脳、肝臓、骨などの他の臓器を侵すタイプと乳管の中に留まる2つのタイプがあります。
2.2 稀な病気?
生涯のうちに、日本人女性の9人に1人が患うと言われている乳がん。
年々増加傾向にあり、決して稀な病気ではありません。
発症のピークを迎えるのは、40代後半から50代。遺伝性の乳がんの場合などでは、40歳未満で発症することも。
男性でも乳がんを患うケースはありますが、こちらは稀なケースです。
一方で、女性にとっては、誰でも罹る可能性がある病気。
だから、乳がんに関する全般的な知識を獲得し、いち早く「病気の可能性」に気づくことができるようになるのがベスト。
2.3 リスクファクター
乳がんの原因となり得る主なリスクファクターは5つ。
→出産・授乳歴がない、初経が早く閉経が遅いなど
2)血縁関係者で乳がんを患ったひとがいる
3)運動不足
4)肥満
5)喫煙
社会的・遺伝的背景やライフスタイルなど、様々な要因が乳がんの発症リスクとなります。
3. 乳がんは予防できる!
リスクファクターに該当すれば必ず乳がんになるという訳ではなく。逆に、リスクファクターに該当していなければ乳がんにはならないという保証もありません。
できるだけリスクファクターを避けつつ、早く見つけるための対策をたてることがポイント!
そこで大切なのは、乳がん検診。
検診は、特に症状は無い時に、病気が潜んでいる可能性は無いか?をチェックするための手段です。
乳がん発症のピークを迎える前の40歳からはマンモグラフィー検査で定期的にチェックする習慣を!
市区町村、ご勤務先で実施しています。確認してみましょう。
一方で、検診を受けていても、脂肪が少ない乳房や乳腺が密な状態では、マンモグラフィー検査の画像全体が白く映り、がんを見つけ難いという弱点も。
この状態を「高濃度乳房」と言い、わたしたち日本人を含むアジア系女性に多く見られる所見。
マンモグラフィー検査結果で「高濃度乳房」と記載があった場合、どのように対応すべきかを医師に確認しましょう。
定期的に、マンモグラフィー検査に超音波検査も追加して検査するのも1つの方策です。
そして、若いうちから身につけたい習慣、それは、ブレスト・アウェアネス!
入浴前後、鏡の前で自分の乳房をチェック!
「凹みは無い?しこりは?ひきつれは?乳房の左右差は?脇の下はいつもと変りない?」
入浴後のお肌は乾燥しやすい状態。
季節を問わず、ボディクリームやローションでケアしてあげることが大切。
ボディクリームをつける時に、乳房チェックもご一緒に!乳房への塗布は、バストアップ効果も兼ねて、入念に行いましょう。
リンパ節などへの転移の無い早い段階で見つかれば、約90%は治ると言われている乳がん。
予防が大切です。
4. もし乳がんになったら?
どんなに注意していても、病気は不意にやってくることもあります。
でも、自分を責めず、独りで悩まないで。
あなたのカラダとココロを守る治療や生活サポートはたくさんあります。
あなたやご家族、友人が乳がんと診断を受けたとき、支えとなり、参考になるおススメ図書を2冊ご紹介します!
著者:高橋かおる医師 2021年5月 株式会社アトラスハウス発行
静岡県立静岡がんセンター乳腺外科部長
上皇后美智子様の侍医として2019年乳がん手術を担当。
治療法の選択、乳房再建、再発時の対応など、専門医の着眼点を患者さんのお気持ちに深く配慮した内容で説明。
監修:山内秀子医師 2019年11月 株式会社主婦の友社発行
聖路加国際病院副院長 ブレストセンター長・乳腺外科部長
乳がん治療と共にある日常生活。就業、療養費補助制度、療養中のスキンケア、ココロのケア、食事、治療法など、治療と生活をサポートする情報が満載。
「手術を受けた後でも、大好きな温泉を満喫したい!」
前回の記事でもご紹介しましたが、温泉はウェルビーイングに最適です。
欧州の温泉とは違い、日本では、入浴の際に水着を着用しないことが前提。
「でも、手術のあとは少し人目が気になる…」
安心してください。乳がん術後の専用入浴着貸出を行っているピンクリボンフレンドリーな温泉があります!
詳細は、認定NPO法人J.POSH日本乳がんピンクリボン運動のサイトをご参照ください。↓↓
https://www.j-posh.com/activity/spa/
5. まとめ
9人に1人が患う乳がん。
わたしだけではなく、家族や友人も「乳がん」の診断を受ける現実は目の前に存在します。
病気は、予防することがとても大切ですが、100%防御することは難しい。
でも、もしも予備知識があれば、その時点で最善の選択をすることが可能になるかもしれません。
また、ココロにかかる負担も少し軽減できるかもしれません。
10月は、誰もがなり得る乳がんについて、少しだけ考えてみる時間を設けてみませんか?