登別、酸ヶ湯、乳頭、作並、草津、箱根、有馬、道後、別府。
都市部から週末にちょっと訪れるのにも程よい距離にある温泉も多く、リフレッシュに最適です。
「今度温泉にでも行きたいね」という言葉が飛び交う日常。そして、毎日湯船に浸かって清潔を保ち、疲れを癒す国民は、日本以外には無いのではないでしょうか?
一方で、日本の湯治のように温泉をセラピーの一環として取り入れている国々は、欧州を始め、日本以外でも見られます。
その中の1つ。スイスとの国境に程近いフランスの有名な温泉リゾート、エクスレバン(Aix les Bains)とトノンレバン(Thonon les Bains)を中心に、フランスの温泉文化を通して、日本の温泉と比較してみましょう。
目次
2. フランスの温泉文化
3. フランスの温泉地図と効能
4. エクスレバンとトノンレバン | Aix les Bains et Thonon les Bains
5. まとめ
1.温泉がカラダとココロに良い理由
温泉がカラダに良い理由は何でしょうか?真っ先に思いつくのは、その泉質です。
全国各地で湧き出る温泉の元となる源泉は、「バスタイムで美活」でもご紹介した通り、硫酸塩泉、ナトリウム炭酸水素塩泉、ラドン泉など泉質に違いがあり、その多様性から、「ナトリウム炭酸水素塩泉の宇奈月温泉は炭酸ガス効果で角質を除去しお肌がすべすべになる美人の湯」や「ラドン泉の有馬温泉に浸かって痛みを癒す」などの特徴が生まれます。
ココロに良い理由は何でしょうか?大きく2つ挙げることができます。
1つは、日常生活領域から距離を置くことができる転地効果。
もう1つは、露天風呂など、自然の中にカラダを委ね、視覚・聴覚・嗅覚、意識を養うメディテーション効果。
カラダもココロもバランス良く整います。
2. フランスの温泉文化
温泉と言えば、日本の専売特許のように感じられるほど、日常生活に占める割合は高く、誇れる文化の1つです。
でも、実は、温泉には興味が無く、無縁であるかのようなフランスですが…(勝手なイメージ)、医師の処方による温泉療法は保険の適用となり、治療・リハビリ、宿泊代、交通費も含め、3割負担のみで利用できるなど、日本より一歩先に進んだ取り組みが繰り広げられています。
治療として適用される領域は、口腔粘膜、消化器科、メンタル、泌尿器、皮膚科、婦人科、循環器科、呼吸器科、神経科、リウマチ科、小児科とほぼ全ての臓器にわたり、疾患領域をカバーしています。
温泉とは一線を画しますが、伝統的に自然療法が盛んなフランスでは、海水を用いたタラソテラピーも有名です。
3. フランスの温泉地図と効能
元々、ハイドロセラピーが盛んなフランスでは、100を超える温泉リゾートを有しています。
フランスに於ける温泉リゾートの発展は、虚弱体質だったナポレオン三世が侍医の勧めにより温泉療法を愛好していたことも寄与したのだとか。
ナポレオン三世もその効果を確信し、愛好した温泉療法!
ご旅行のご参考に、21世紀に於けるフランスの州別温泉リゾート保有数ランキングベスト5をご紹介します!
順位 | 保有数 | 州名 | 地理 | 有名な温泉リゾート | 適応疾患 |
1 | 16 | ローヌ・アルプ | 東部中央 | トノン・レバン | 消化器・代謝内系疾患、リュウマチ、腎・泌尿器疾患 |
2 | 15 | ミディ・ピレネ | 南西部 | カプヴェルヌ・レ・バン | 消化器・代謝内系疾患、リュウマチ、腎・泌尿器疾患 |
3 | 13 | ラングドック・ルシオン | 南部中央 | バラリュック | 消化器・代謝内系疾患 |
4 | 10 | オーベルニュ | 中部 | ル・モン・ドール | リュウマチ・呼吸器系疾患 |
5 | 8 | アキテーヌ | 西南部 | テルスィ・レ・バン | リュウマチ・皮膚疾患・口腔疾患 |
典拠:「フランスの温泉リゾート」フィリップ・ランジュニュー=ウィヤール著 成沢広幸訳 2006年 白水社
リゾート地の多くに、レバン(les bains)の名称が見られます。
Le bainはお風呂を意味するフランス語。Les bainsはその複数形で、公衆浴場を意味します。
フランス旅行中に、道標でles bainsの文字を見かけたら、温泉地と理解して間違いないでしょう。
4. エクスレバンとトノンレバン | Aix les Bains et Thonon les Bains
トノンレバンThonon les Bainsは、前章で、州別温泉リゾート保有数ランキング第1位に輝いた、標高430メートル、スイスとの国境レマン湖の畔にある温泉リゾートです。
ナチュラルミネラルウォーターでお馴染みのエヴィアン。
トノンレバンは、エヴィアンの採水地エヴィアンレバンEvian les Bainsに隣接し、その温泉リゾート地帯の中に君臨する中心的存在でもあります。
もう1つの著名な温泉リゾート・エクスレバン。温泉リゾート保有数では、第6位にランクイン。
標高260メートル、トノンレバンから南下したスイスとの国境近く、ブールジェ湖畔に位置します。
その湖上には、ヨットが停留し、古き良き時代の温泉リゾート地の面影を街全体に漂わせています。
1998年に開催されたサッカーワールドカップで日本選手団が合宿した地としても有名です。
主な適応疾患は、リュウマチ、皮膚疾患、口腔疾患、呼吸器疾患。
5. まとめ
日本とフランスの温泉利用に際する大きな違いは、入浴の際、水着を着用するか否か。
基本的にフランスを始めとした欧州諸国の温泉リゾート地では水着を着用して利用します。
温泉リゾートは、治療目的だけではなく、その多くは、美容やヘルスプロモーション目的で利用されています。
建物も優雅な造りが多く、その雰囲気による視覚的な癒し効果もあるかもしれません。
COVIDが過ぎ去った後のヴァカンス。国内を始めとした、世界各地の温泉リゾート廻りはウェルビーイングに最適です。
我慢を強いられる日々が続いていますが、引き続き感染予防に努め、一日も早く過ぎ去ることを願いつつ、収束を待ちましょう。
その暁には、風光明媚な景色と風土料理でココロもカラダも癒されたいですね!