毎日のバスタイムは、お休み前に、一日の疲れをリセットしてくれる豊かな時間。
ちょっと足を延ばして温泉!特別な日のバスタイムは、おうち時間とはまた違った風情と泉質でリラクゼーション効果も大きいですよね。
わたしたち日本人と馴染み深い入浴習慣は、ココロとカラダにどのような働きをもたらしてくれるのでしょうか?
スキンケアもストレスケアも同時にできるバスタイム。
今よりもっと豊かに過ごすためのサポートアイテムも交えてお伝えします。
目次
1.1 皮膚の構造
1.2 お肌をキレイに整えるポイント
2. 入浴がもたらす効果
2.1 科学的に“ちょうどよい”湯温は?
2.2 ココロとカラダへの効果
3. 日本の温泉と泉質・効果
4. アロマを使ってバスタイムを豊かに!
4.1 精油は何が良い?
4.2 ハンドメイドでアロマバス
5. まとめ
1. お肌のキレイを保つポイント
お湯の柔らかさ、刺激を真っ先に感じる、お肌。一日の疲れを癒すことと共に、肌に付着した汗や脂肪などの汚れを洗い流すのが大きな目的です。肌の構造を学びながら、キレイに整えるためのポイントを見てみましょう。
1.1 皮膚の構造
皮膚は、総面積1.5~1.8㎡、体重の約15%をも占める最大の臓器。外側から、表皮・真皮・皮下組織の3層構造から成り立っています。
表皮は更に5層から成り、私たちが「肌」として見ているのは表皮の最上層にある角質層。5層構造の表皮全体で厚さは約0.2mm。
約4週間のサイクルを経て、肌は新しく生まれ変わります。
1.2 お肌をキレイに整えるポイント
潤いのあるツヤ肌は角質層が作り出します。足裏など外的刺激を受けやすい部位の皮膚は、防御を目的として厚みがありますが、その他の部位では、平均約0.2mmの厚さしかありません。
だから、カラダ全体もゴシゴシと力を加えて汚れを落とすことで、お肌を傷つけてしまいます。
基本的には、洗浄効果は湯船に浸かるだけでも十分!
お顔と同じように、軽くマッサージする程度に、ホホバオイルなど、保湿剤の入った洗浄剤で優しく労わりながら洗い流しましょう。
また、入浴後、そのまま放置することで、10分以上経過した後は、入浴前よりもお肌の状態が乾燥しやすくなります。
入浴後は、お顔のケアと共に、ボディクリームやローションを使って、ボディケアが大切です!
2. 入浴がもたらす効果
2.1 科学的に“ちょうどよい”湯温は?
温泉を訪れると、「高温風呂」と称した45℃以上のお風呂もあり、私たち日本人は、欧米人と比較すると湯温は高めを好む傾向にあります。
一体、カラダにとって適切な温度は、何度なのでしょうか?
水温による分類では、「湯温」は39~42℃とされています。美肌を保つことが第一の目的なら、38℃から上限40℃のぬるま湯、おやすみ前のリラクゼーションタイムでは、副交感神経を優位にさせる40℃以下の湯温に保つと効果的です。
湯船に浸かる時間の目安は10分から15分程度。カラダが芯から温まります。
一方で、仕事前で集中力を高めたい時には、交感神経を優位にさせる熱めの42℃程度が効果的。昼間帯に、ジムなどで強度の高い運動をした後も、熱めの湯温が筋肉疲労を和らげます。
ただし、夏季は、高温や長時間にわたる入浴により、熱中症のリスクが高まりますので注意が必要です!
2.2 ココロとカラダへの効果
《カラダへの効果》
・肌を清潔に保つ
・疲労回復
・免疫活性
・覚醒作用でカラダを目覚めさせる
《ココロへの効果》
・リラクゼーション効果
・愛情ホルモン分泌促進
季節を問わず、入浴前後のコップ1杯程度の水分補給をお忘れなく!
3. 日本の温泉と泉質・効果
毎日のバスタイムでも癒されますが、時には、足を延ばして大自然の中へ。癒し効果も倍増します。
わたしたちが暮らす日本には、火山活動のある山岳地帯も多く、豊富な数の温泉環境に恵まれています。
メディカル分野でも用いられる泉質とカラダに与える主な作用・効果を見てみましょう。
泉質 | 作用・効果 | 代表的な温泉 |
単純温泉 | 刺激が穏やかで万人向き | カルルス温泉(北海道)、鹿教湯温泉(長野)、道後温泉(愛媛) |
ナトリウム塩化物泉 | 保温、筋肉弛緩、去痰 | 熱海温泉(静岡)、有馬温泉(兵庫) |
ナトリウム炭酸水素塩泉 | 角質除去、爽快感 | 川場温泉(和歌山)、宇奈月温泉(富山) |
硫酸塩泉 | 血行促進 | 虎杖浜温泉(北海道)、嶽温泉(青森)、峩々温泉(宮城)、東山温泉(福島)、毒沢温泉(長野)、山代温泉(石川)、 |
鉄泉・緑ばん泉 | 保温 | 有馬温泉(兵庫)、不老不死温泉(秋田)、松代温泉(長野) |
二酸化炭素泉(炭酸泉) | 血管拡張(血圧を下げる) | 有馬温泉(兵庫)、湯谷温泉(長野)、みちのく温泉(青森) |
硫黄泉 | 血管拡張(血圧を下げる)、角質層を柔らかくする | 登別温泉(北海道)、鳴子温泉(宮城) |
酸性泉 | 殺菌(酸性が強く刺激的) | 川湯温泉(北海道)、酸ヶ湯温泉(青森)、玉川温泉(秋田)、別府温泉(大分) |
ラドン泉(放射能泉) | 鎮痛 | 有馬温泉(兵庫)、三朝温泉(鳥取)、増富温泉(山梨) |
※「入浴の事典」阿岸祐幸編を元に編集の上作成
※単純温泉は泉温25°以上、または、成分濃度が薄い温泉。国内では最も多い。
※皮膚炎など、疾患の治癒を目的とする場合は、かかりつけ医、または、専門医のアドバイスのもと実施しましょう。
女性にとっては、古くなった角質を除去してくれる効果が期待でき、「美肌の湯」「美人の湯」と称されるナトリウム炭酸水素塩泉や、冷えの改善に役立つ保温効果の高い泉質が嬉しいかもしれませんね。
4. アロマを使ってバスタイムを豊かに!
4.1 精油は何が良い?
リラクゼーション効果が高い、集中力を高めるなど、豊富な種類と効果が期待できる精油がたくさんあります。
効果を期待して精油を選ぶのも1つですが、意外と、ご自身が抱えているお悩みに精油の効果がマッチングすることが多く、好みも日々刷新されますので、ピンときた精油、「好き!」という感覚で選ぶことが一番です。
ご参考までに、バスタイムにおすすめのリラクゼーションやスキンケア効果が期待できる精油をいくつかご紹介します。
真正ラベンダー、ベルガモット、フランキンセンス、ローマンカモミール、シダーウッド、ゼラニウム、など
暑くて眠り難い夏季には、ペパーミントオイル少量を他の精油とブレントして用いても爽快感を得られます。ローズマリーもお肌を引き締める効果が期待できるため、少量ブレンドしておやすみ前のスキンケアに用いることもおすすめです。
精油は、原産国、抽出部位、抽出方法、学名が明記されているかを確認し、店舗等スタッフのアドバイスを参考にご購入を!
4.2 ハンドメイドでアロマバス
私たちが暮らす日本では、伝統的に、血行促進と芳香浴効果の高い、ゆず湯が用いられていますが、精油を用いることでも、同様の効果が期待できます。
ただし、精油は、水に溶けにくいという性質を持っています。
入浴中にお肌やココロへの効果も期待して、精油をそのまま湯船に垂らしても、全体に広まり難く、効果は期待できません。また、精油が直接お肌へ触れる可能性が高まり、刺激を与えてしまう心配も。
そこでおすすめなのが、乳化剤に精油を滴下して作るアロマバス!
保温効果を高める効果が期待できる「お塩」を使ったバスソルト。刺激を受けやすいお肌には、生クリームを用いたミルクバスにしたり、ホホバオイルやハチミツを用いて優しく保湿効果を高めるという方法もあります。
《分量の目安》
塩大さじ1、または、乳化剤小さじ2程度にお好みの精油を5~6滴ドロップし、よく混ぜてからバスタブへ。
5. まとめ
わたしたちの生活に欠かせない入浴習慣。毎日のバスタイムで1日の疲れを癒し、爽快な朝を迎え、また一歩踏み出す。
何気ない毎日の一コマが、実は、豊かな毎日を作ってくれます。
がんばる気持ちも、時には、がんばらなくて良い、何もしなくても良い気持ちも、すべてを優しく包み込んでくれるバスタイム。
日頃の良い習慣を“わたし好み”にカスタマイズしながら楽しみましょう。
次回は、エクス・レバン(Aix-les bains)を中心に、フランスの温泉リゾートの詳細をご紹介しながら日仏温泉文化比較考察をお伝えします。
【参考図書】
「入浴の事典」阿岸祐幸 編