遺伝的な要因は約5%程度。ライフスタイルや環境の要因が発症の大きな引き金となる、がん。生涯のうちで2人に1人はがんになるという現実。
そもそも、日々の生活や環境の何が原因となっているのでしょうか?
喫煙、運動不足、ウィルス・細菌などの要因もさることながら、大元で悪さをしているのは、体内で過剰に活性酸素が生じた場合に発生する酸化ストレス。
でも、打つ手がないわけではありません。
酸化ストレスをしなやかにかわすポイントは、食べ物に含まれる抗酸化物質!
酸化ストレス(活性酸素)がカラダに与える影響から、具体的に、どのような食材に抗酸化物質は多く含まれているのか?抗酸化物質はどのように役立つのかまでコンパクトにまとめてお伝えします。
目次
2. 酸化ストレスがカラダに与える影響
3. 酸化ストレスに負けない!抗酸化物質とは?
3.1 抗酸化物質とは?
3.2 どのような食材がある?
4. 抗酸化物質とSDGs
4.1 色で選ぶ!カラフルベジ・ストラテジー
4.2 食べてSDGs!?
5. まとめ
1. 食品の3つの機能
朝起きて慌ただしく、ランチタイムが来てワイワイ、仕事が終わってほっと一息。
生活の一部に溶け込んでいて、何気なく食べている食品。一方で、酸化ストレスを撃退する抗酸化物質を含む食材もあるなど、私たちの生命活動になくてはならない大切な存在。
食品は、一体、私たちのカラダにどのような影響を与えているのでしょうか?まずは、カラダに与える影響を機能の側面から見ていきましょう。
食品の機能と役割は大きく3つに分けられます。
機能分類 | 役割 | 具体例(栄養素・感覚指標など) |
1次機能 | カラダをつくり、活動のエネルギー源になるなど栄養素としての役割。 | タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなど |
2次機能 | 味や香りなど感覚器官に働きかけ、食欲を高めるなど嗜好を引き出す役割。 | うま味・甘味・塩味・酸味・苦味、辛味、モノテルペンなど |
3次機能 | 免疫やホルモン分泌などを調整し健康をサポートする生体調整機能の役割。 | 機能性成分(ポリフェノール・カロテノイド・カテキンなど) |
今回、スポット当ててみていきたいのは、生体調整機能の役割を担う3次機能食品です。
2. 酸化ストレスがカラダに与える影響
酸化ストレスがカラダに与える影響について、生涯のうち2人に1人がかかると言われているがんを例に挙げて考えてみましょう。
わたしたちを形づくるすべての細胞は、両親から受け継いだDNAを持っています。細胞内で過剰に発生した活性酸素は、酸化ストレスとしてDNAを損傷し、細胞を異常増殖させ、発がんのステップを進行させます。
活性酸素は、酸素を取り入れた生活を送るわたしたちの体内で発生する副産物。そこに、紫外線やタバコ、放射線、食品添加物などがイニシエーターとなり、習慣として反復することで過剰に発生します。
1946年までは、平均寿命が50歳未満だった事実を考えると、人生100年時代の今、わたしたちのカラダは酸化ストレスにさらされる機会が増え、その期間も長期化し、がんの割合が増加している一因に。
でも、この過程を見ると、わたしたち知恵次第では、防衛策がいくつか思い浮かんできませんか?
3. 酸化ストレスに負けない!抗酸化物質とは?
3.1 抗酸化物質とは?
活性酸素を抑制することが、がんや生活習慣病の発生やエイジングの速度をダウンさせてくれるのではないか?と注目が集まっています。
活性酸素を抑制するとして期待されているのが抗酸化物質。
抗酸化作用を有する2大機能性成分と言えば、ポリフェノールの一種フラボノイドと色素成分カロテノイド。いずれも植物由来で、わたしたちの体内では作り出すことができません。
灼熱の陽射しと紫外線をサンサンと浴びると、わたしたちのお肌は光老化という現象でシワやシミのもとを作ってしまいます。一方で、植物は、過酷な環境を味方につけて、光合成を行い成長。抗酸化成分を上手く活用していることをわたしたちに教えてくれます。
3.2 どのような食材がある?
代表的な抗酸化作用を持つ機能性成分として、カロテノイド・フラボノイド・イオウ化合物が挙げられます。これら3つの分類に属する食材を見てみましょう。
抗酸化成分 | 主な食材 |
フラボノイド | セロリ、パセリ、ピーマン、春菊、にら、ブロッコリー、なす、大豆、玉ねぎ、レモン、みかん、いちご、ぶどう、ブルーベリー、そば、緑茶、カカオ、など |
カロテノイド | 緑黄色野菜、キャベツ、トウモロコシ、すいか、パパイヤ、マンゴー、みかん、甲殻類、海藻類、唐辛子、鮭、そば、など |
イオウ化合物 | らっきょう、にんにく、にら、ねぎ、玉ねぎ、大根、キャベツ、ブロッコリー、わさび、など |
野菜と果物に多く含まれているようです。
この他にも、柑橘類や針葉樹に多く見られる香りの成分テルペノイドにも抗酸化作用があります。柑橘類のデザートを携えて森林浴にお出かけも良いですね!
4. 抗酸化物質とSDGs
4.1 色で選ぶ!カラフルベジ・ストラテジー
抗酸化物質として名高い野菜と果物。各々が持つカラーには類似した働きがあるとして、国連食糧農業機関FAO(2003年)が、野菜と果物をわかりやすくカラー別に分類しています。参考にしてみましょう!
色 | 野菜 | 果物 | はたらき |
パープル/ブルー | ビート、レッドキャベツ、なす | ブラックベリー、ブルーベリー、ぶどう、プラム、パッションフルーツ | がん発症抑制、脳卒中・心筋梗塞予防など |
レッド | 赤ピーマン、ラディッシュ、トマト | りんご、洋ナシ、ぶどう、さくらんぼ、ピンクグレープフルーツ、グアバ、ラズベリー、いちご、すいか | がん発症抑制、心臓病予防 |
オレンジ/イエロー | にんじん、かぼちゃ | グレープフルーツ、レモン、オレンジ、マンゴー、メロン、パイナップル、ネクタリン、パパイヤ、アプリコット | 視力・眼精疲労回復など目の健康 |
ブラウン/ホワイト | カリフラワー、にんにく、生姜、玉ねぎ、チャイブ、ねぎ | バナナ、梨、桃、ドリアン | 感染症予防(抗菌・抗ウィルス) |
グリーン | アスパラガス、緑豆、ブロッコリー、キャベツ、レタス、きゅうり、スピナッチ、エンドウ豆、ピーマン | 青りんご、アボカド、マスカット、キウイ、ライム | がん発症抑制 |
4.2 食べてSDGs!?
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連で採択された国際連合持続可能な開発目標を指し、2030年までに世界で達成すべき課題を17項目に分類し、達成目標値を定めた指標。個人にも企業にも参画が求められています。
2021年は国際果実野菜年!食料の安全と安定的供給を守る国連食糧農業機関FAOも抗酸化物質である野菜と果物をたくさん食べようと呼びかけています。
わたしたちが健康行動をとることで、しなやかで強く美しいカラダをつくり、同時に、世界の貧困改善や持続可能な環境が実現できると一石二鳥の提案。
自分のためにやっていることが、実は、みんなのためにもなっているって嬉しい!
5. まとめ
色とりどり、形も様々な野菜と果物を目にすると何か幸せな気持ちになりませんか?
調理などにちょっとひと手間かかる野菜と果物。でも、農家さんも手塩にかけて育ててくれたと思うと美味しさもひとしおです。
サプリメントで手軽に抗酸化!と思っても、咀嚼力を養い、消化を助け、満腹感も満たしてくれる「噛む」という機能から得られる効果は期待できません。
厚生労働省が目標として掲げる1日の摂取量、野菜350g、そのうち緑黄色野菜120g、果物200gを食べることで、錆びないカラダは作られます。
視覚も嗅覚も味覚も触覚も聴覚も!感覚をフル活用し研ぎ澄ませてくれる野菜と果物。もっと手軽に、カラダの機能を上手に使いながら、たくさん摂れるアイディアをお伝えしていきます!